さて、ここまで見てきたような法則は、チョコレート売場に限った話ではなく、PCやスマホのアクセサリー売場にも同様に当てはまる。しかしPCやスマホのアクセサリーの場合、機器本体に適合するサイズと形状であることが必須で、パッケージのサイズありきで製品のサイズを調整することができない。
ではどうするかというと、製品のサイズはそのままに、パッケージのサイズだけを他の製品とそろうように拡大する。例えば電源タップの場合、パッケージサイズは高さ別におおむね3パターンに分かれるので、近いサイズに合わせて作成する。「本体は小柄なのに台紙はやたら大きい」パッケージがあるのはそのためだ。
またケーブルの場合、2m、3m、5mという長さのラインアップがあれば、パッケージサイズの高さは固定しておき、横幅を調整する。これにより、長さが違うケーブル製品を横1列に並べて陳列することが可能になる。本体の形状を柔軟に変えられるケーブルならではの技である。
最近はネット通販の台頭によって、こうした店頭での陳列を想定したパッケージが作成される機会は減っているが(そもそも海外製品の取売ではパッケージが支給されることも多く、カスタマイズの余地がない場合も多い)、逆にいうとこうした店頭陳列におけるノウハウの有無が、メーカーの販路を決定づけている面もある。
チョコレート売場でも、あるいはPCやスマホのアクセサリー売場でも構わないが、上記のような視点を持って売場を眺めてみると、パッケージにまつわる各社の思惑が浮き彫りになって面白い。製品サイズとは似つかわしくない大型パッケージを見かけたら、そこにはどういう意図があるかを考えてみてはいかがだろうか。
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