「Microsoft 365 for Consumer」が間もなく登場かWindowsフロントライン(1/2 ページ)

» 2020年03月18日 12時00分 公開

 本連載でもたびたび取り上げているが、「Microsoft 365 for Consumer」がいよいよその姿を現そうとしている。直近に出てきた情報によれば、このコンシューマー向け製品はいわゆるエンタープライズ向けに提供されている“Microsoft 365”とは異なり、米国などの市場で提供されているコンシューマー向けOffice 365の「Office 365 Home/Personal」をリニューアルしたものとなる。

 ZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏によれば、現在内部でいわれている正式な名称は「Microsoft 365 Life」で、開発コード名は「Alta」、製品の提供ターゲットは2020年春となっている。

 現地の複数のメディアが報じているが、米Microsoftは3月16日(米国時間)に一部の報道関係者向けに、3月30日開催予定となるオンラインイベントの招待状を発送しているという。

 イベントの詳細については不明だが、招待状の文面によればイベントで話される内容は主に「生産性(Productivity)」にフォーカスしており、これを仕事から生活(Life)、そして家族での活動を通じて実現していくことを目指すようだ。ここから想像できるように、このイベントでカバーされるのは「Microsoft 365 for Consumer」というのはほぼ間違いないようだ。

Microsoft 365 for Consumer 3月30日に開催されるオンラインイベントの招待状(thurrott.comより)

Microsoft 365 for ConsumerことMicrosoft 365 Lifeはどのような製品?

 このイベントで発表される製品の概要について、やはりメアリー・ジョー・フォリー氏が自身の情報源から最新事情を説明している。

 元々は2019年5月のBuild 2019カンファレンスのタイミングで発表される予定だった同製品だが、内部事情で今回のタイミングまで発表が延期されたというのは既報の通りだ。

 このMicrosoft 365というのは、Windoows 10 Enterprise+Office 365+Enterprise Mobility and Security(EMS)を組み合わせ、企業がクライアントの管理から生産性ツールまで必要なものを、全てそろえてサブスクリプション形式でライセンスする仕組みとして始まったもので、コンシューマー向けとしては不要なツールも多く、必ずしも全ての一般ユーザーに通用するわけではなかった。

Microsoft 365 for Consumer Windows 10とOffice 365などが利用できる「Microsoft 365」

 そこでMicrosoft 365 Lifeでは、コンシューマーの世界でも広く利用されているOffice 365 HomeとPersonalという2つのエディションに着目し、これを実質的に“別名でリブランディング”する形で提供が行われる。

 ジョー・フォリー氏によれば、新製品での料金も既存のOffice 365 Homeの年間99.99米ドルとPersonalの69.99米ドルという線は変わらず、その代わりに新しいバンドルとして「パスワードマネージャ」のようなコンシューマーのニーズに合った機能が新たに追加される方針だという。

 ただし日本では、Office 365のコンシューマー向けの提供形態が異なっており、「Office 365 Solo」という独自エディションの提供に留まっている。ライセンス形態も、米国などでのHomeやPersonalが非ビジネス用途限定なのに対し、Soloでは用途を選ばず利用できる特殊なものとなっている。

 これは「Windows PCにはOfficeがバンドルされる」という日本のバンドル戦略の延長線上にあるもので、仮にMicrosoft 365 Lifeが日本に入ってきたとしても、これらの差異を吸収しない限りは米国と別路線を歩む必要があることを示唆している。

Microsoft 365 for Consumer 日本で提供されているOffice 365の家庭向け製品ラインアップ

 つまり、コンシューマー向けのクラウドサービスを「Life」の名称でリブランディングしようというのが今回の趣旨だと思われるが、もう1つ重要なのが「Teams for Life」という製品だ。

 言うまでもなく「Microsoft Teams」という最近同社が推進している企業ユーザー間でのコラボレーションを促進するためのツールのコンシューマー版に相当するものだが、これがどのような製品となるのかは「Microsoft 365 Life」以上に想像しづらい。

 企業向けではSkype for BusinessをTeamsでリプレイスし始めているため、コンシューマー領域でもSkypeが兼ねる機能の一部をTeamsへと移し、より広い範囲でのTeams活用を促す方向を目指すことも考えられるが、おそらくMicrosoft 365 Lifeと同様に、企業向けのTeamsとは別物として考えるのが正しいかもしれない。

Microsoft 365 for Consumer 新型コロナウイルスの影響で改めて脚光を浴びているリモートワークや、休校対策での利活用が進む「Microsoft Teams」

 なおジョー・フォリー氏を含め、イベント招待状を受け取った複数のメディアが報じているが、今回のイベントのタイミングでTeams for Lifeが発表されるかは不明だとしている。また、今回はあくまでサービスやソフトウェアの話題が中心で、Surfaceを含む新規ハードウェアの発表は可能性が低いと予想される。

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