AppleとGoogleが協力した新型コロナ対策「接触追跡」とは何か?ロックダウンを繰り返さないために(1/4 ページ)

» 2020年04月11日 15時50分 公開
[林信行ITmedia]

 4月10日(現地時間)、AppleとGoogleが新型コロナウイルス対策で協力するという発表を行った。中心となったのは「Contact Tracing(接触追跡)」と呼ばれる技術だ。

 今、この技術がなぜそれほど重要なのか。筆者なりの考察をまとめた。

Apple×Google 4月11日の未明(日本時間)、AppleとGoogleが合同で発表を行った

AppleとGoogle、「社会生活を維持するために協力」

 AppleとGoogleが発表した、新型コロナウイルス対策で協力するという内容は以下の文章で始まる。

世界中の政府機関と保健当局は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを抑えるソリューションを見つけ、人々を保護し、社会生活を維持するために協力しています。また、ソフトウェア開発者は、ウイルスと闘い命を救うために役立つツールの開発を通じ、感染症対策に貢献しています。

 世界中の政府機関は相互に情報を交換しながら、新型コロナウイルスのパンデミックの第2波、第3波を抑える対策を練っている。その中でも、最も大きな効果をもたらしそうなのが、感染者がどんな人と接触したかの追跡を可能にする「Contact Tracing(接触追跡)」の技術だ。

 実は今、日本を含む世界中のCivicTechと呼ばれる、有志のソフトウェア開発者らの集まりが、その対策のツール開発にあたっている。

 では、世界的パンデミックを抑えるべく、この「接触追跡」の技術をどうやって形にするのか。

 その鍵は、世界人口の半数近くとなる約35億人以上が利用するスマートフォンだ。このスマホに接触追跡の技術を組み込み、大勢がこの技術を日常的に使うようになれば、感染者に接触した本人や保健当局が把握しやすくなる。

 ただ、これを実現するにはスマホの大半を占めるiOS(iPhone/iPad)とAndroidを提供する、AppleとGoogleの協力も必要だ。両社では、人々が安心してスマートフォンを利用できるようプライバシー保護の体制を強化してきており、その影響で接触追跡が行いにくい部分がある。

 今回の発表は、AppleとGoogleが、こういった政府やCivicTechの開発者らと協力し、きちんとスマホ利用者のプライバシーを守った状態で、接触追跡を可能にするための協力体制を築いた、ということを意味する。

 具体的な動きとしては、まず5月とされている第1フェーズだ。iOSとAndroidのどちらでも同様に動くようにするための共通のAPI(アプリ開発のためのOS基盤)を用意し、これを利用した公衆衛生当局提供の接触追跡アプリの提供が行われる。

 続く第2フェーズでは、この接触追跡アプリの機能をOSそのものに組み込む(つまり、アプリのインストールを不要にする)。こちらは今後、数カ月かけて実現する。ユーザーのプライバシーを最大限に尊重するためにオプトイン形式(承認しない限り有効にならない)で実装されるという。

Apple×Google 感染者と濃厚接触した可能性をスマホ経由で通知する仕組み
Apple×Google AppleとGoogleが想定している「接触追跡」アプリの利用イメージはこのような形で、まずは感染が発覚した時点で、感染者と14日以内に接触していた本人が分かる仕組みに設計されている。仕組みの詳細については、こちらの記事を参照してほしい
       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年12月08日 更新
  1. 触るな危険!――毎分8000回転の超高速120mmファンが登場 (2024年12月07日)
  2. 「Windows 11 2024 Update(バージョン24H2)」の既知の不具合まとめ【2024年11月27日現在】 (2024年11月27日)
  3. M4 Maxチップ搭載「16インチMacBook Pro」の実力をチェック 誰に勧めるべきモデルなのか? (2024年12月06日)
  4. 天空がパワフルかつ拡張性の高い小型ノートPC「GPD Pocket 4」を2025年2月に発売 14万6700円から(予約で3000円引きに) (2024年12月06日)
  5. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  6. Amazonが「Fire TV Stick HD」のプレゼントキャンペーンを開催 新製品のサウンドバーとのセットも (2024年12月04日)
  7. 今なら1.5万円から買えるXiaomiの8.7型Androidタブレット「Redmi Pad SE 8.7」が“ごろ寝”にちょうどいい (2024年11月27日)
  8. EIZOが最薄部約24.4mmでアーム付属の23.8型液晶ディスプレイ「FlexScan FLT」を発表 欧州エネルギーラベル「Class A」取得で環境に配慮 (2024年12月05日)
  9. 新型Macに搭載された「M4チップ」「M4 Proチップ」の実力は? 実機をテストして分かったこと (2024年11月07日)
  10. QWERTYキーボード付き二つ折りポータブルPC「AYANEO FLIP KB」の操作性を試す ビジネスでも使える? (2024年12月05日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー