4月10日(現地時間)、AppleとGoogleが新型コロナウイルス対策で協力するという発表を行った。中心となったのは「Contact Tracing(接触追跡)」と呼ばれる技術だ。
今、この技術がなぜそれほど重要なのか。筆者なりの考察をまとめた。
AppleとGoogleが発表した、新型コロナウイルス対策で協力するという内容は以下の文章で始まる。
世界中の政府機関と保健当局は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを抑えるソリューションを見つけ、人々を保護し、社会生活を維持するために協力しています。また、ソフトウェア開発者は、ウイルスと闘い命を救うために役立つツールの開発を通じ、感染症対策に貢献しています。
世界中の政府機関は相互に情報を交換しながら、新型コロナウイルスのパンデミックの第2波、第3波を抑える対策を練っている。その中でも、最も大きな効果をもたらしそうなのが、感染者がどんな人と接触したかの追跡を可能にする「Contact Tracing(接触追跡)」の技術だ。
実は今、日本を含む世界中のCivicTechと呼ばれる、有志のソフトウェア開発者らの集まりが、その対策のツール開発にあたっている。
では、世界的パンデミックを抑えるべく、この「接触追跡」の技術をどうやって形にするのか。
その鍵は、世界人口の半数近くとなる約35億人以上が利用するスマートフォンだ。このスマホに接触追跡の技術を組み込み、大勢がこの技術を日常的に使うようになれば、感染者に接触した本人や保健当局が把握しやすくなる。
ただ、これを実現するにはスマホの大半を占めるiOS(iPhone/iPad)とAndroidを提供する、AppleとGoogleの協力も必要だ。両社では、人々が安心してスマートフォンを利用できるようプライバシー保護の体制を強化してきており、その影響で接触追跡が行いにくい部分がある。
今回の発表は、AppleとGoogleが、こういった政府やCivicTechの開発者らと協力し、きちんとスマホ利用者のプライバシーを守った状態で、接触追跡を可能にするための協力体制を築いた、ということを意味する。
具体的な動きとしては、まず5月とされている第1フェーズだ。iOSとAndroidのどちらでも同様に動くようにするための共通のAPI(アプリ開発のためのOS基盤)を用意し、これを利用した公衆衛生当局提供の接触追跡アプリの提供が行われる。
続く第2フェーズでは、この接触追跡アプリの機能をOSそのものに組み込む(つまり、アプリのインストールを不要にする)。こちらは今後、数カ月かけて実現する。ユーザーのプライバシーを最大限に尊重するためにオプトイン形式(承認しない限り有効にならない)で実装されるという。
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