新しい学習指導要領の完全実施に伴い、小中学校では「学習用端末」の整備が必要となる。2018年度から始まった「教育のICT化に向けた環境整備5カ年計画」に基づき、今までも「3クラスにつき1クラス分の端末」の配備が進められてきた。
しかし、それでは端末台数、実現時期ともに十分ではないという政府の判断により、2019年12月に発表されたのが「GIGAスクール構想」である。
GIGAスクール構想は、小中学校において「1人1台の学習用端末」と「高速大容量の通信」を2023年度までに一体的に整備することを目指している。高速大容量の通信については、高等学校も整備対象に組み入れられている。
学習用端末は「標準仕様」も示されている。推奨OSは「Windows 10 Pro」「Chrome OS」「iPadOS」の3つで、それぞれのOSについて推奨される(最低限満たすべき)仕様も定義されている。
各PCメーカーは、この仕様に準拠したWindows 10 PCやChromebookを相次いでリリースしている他、プラットフォーマー(日本マイクロソフト、グーグル)やPCメーカーなどが標準仕様を満たした学習用端末と教育プラットフォームを一括して提供するパッケージの提供を表明している。
「1人1台の学習用端末」を実現するために、GIGAスクール構想では端末の購入時に1台当たり最大4万5000円の補助金が支給されることが決まっている。先述したプラットフォーマーやメーカーなどによるパッケージは、原則としてこの補助金の範囲内で調達できるように工夫がなされている。
構想は当初、以下のような「4カ年計画」で進められる予定だった。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う臨時休校が長引きそうな状況を踏まえて、この計画は前倒しされることになった。
4月7日の臨時閣議で決定した「緊急経済対策」における2020年度の補正予算では、学校休業時における子どもたちの「学びの保障」のために2292億円が計上されている。これが可決された場合、2020年度(今年度中)に小中学校の全ての学年において学習用端末の配備が完了することになる。この2292億円には、ネットワーク環境のない家庭に対するモバイルWi-Fiルーターの貸与や、学校で用いるカメラ、マイクや通信機器の整備支援に関する費用も含まれている。
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