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» 2020年09月17日 02時30分 公開

Facebookの“本気度”を感じた完成度の高い一体型VRゴーグル「Oculus Quest 2」を試す(1/5 ページ)

スタンドアローン型のVRデバイスとして話題を集めた「Oculus Quest」に、後継機の「Oculus Quest 2」がリリースされた。VRデバイスを巡る現状を整理した上で、新モデルの特徴をチェックした。

[広田稔,ITmedia]

 Facebookは9月16日(米国時間)、開発者向けイベント「Facebook Connect」の基調講演にて、一体型VRゴーグル「Oculus Quest 2」を発表した。発売は10月14日の予定だ。

 2019年5月に発売した「Oculus Quest」の2世代目となる製品で、価格が64GBモデルで3万3800円、256GBモデルでも4万4800円(いずれも税別)と、旧モデルの64GBが4万9800円、128GB版が6万2800円から3分の2ぐらいに値下げされた点が大きい。

 また直販だけでなく、国内の家電量販店(ゲオ、ビックカメラ、ヤマダ電機、ヨドバシカメラ)の店頭でも取り扱いを始めるというのも注目だ。さらにリンクケーブルや増設バッテリー、キャリングケース、ストラップといった周辺機器も店頭で購入可能になる。

Oculus Quest 2 「Oculus Quest 2」

 VRの普及を大きく加速させそうな新製品だが、その実力はいかほどなのか。実機に触れる機会を得たので、早速レビューしていこう。前編では昨今のVR事情を整理した上で、本体の外観や旧モデルとの比較、セットアップについてまとめていく。

性能と使い勝手のバランスが取れた最先端のVRシステム

 まず、直近のVR事情についてあまり知らない人のために、Oculus Questの立ち位置について簡単に説明しよう。

 昨今のVRムーブメントは、2016年を「元年」とすることが多い。Facebook傘下のOculusがPC向けの「Oculsu Rift」、HTCが同じくPC向けの「HTC VIVE」、ソニー・インタラクティブエンタテインメントがPlayStation 4向けの「PlayStation VR」(PS VR)をそれぞれ一斉に発売したことを受けての呼び方だ。

 当時のVRゴーグルは、こうしたPCやゲーム機とケーブルでつないで使う高性能な据え置き型と、スマートフォンを専用ケースにはめて利用するお手軽なモバイル型が主流だった。

 そこから4年近くが経った2020年、モバイル型はスタンドアローンの一体型に置き換わりつつある。一体型はモバイル型と異なり、スマートフォンをいちいちはめることなく、電源を入れるだけですぐにVRを体験できるのがメリットだ。

 Oculusは、もともとGalaxyシリーズを手掛けるサムスン電子と組んでスマホ向けのVRゴーグル「Gear VR」をRiftに先行してリリースしていた。一体型ではFacebookがシャオミとの協業で2018年に「Oculus Go」をリリース。ストレージが32GBで2万3800円〜という価格で、ガジェットファンに「安い!」というインパクトをもたらした(最終的に2020年1月には1万9300円〜に引き下げられた)。

Oculus Quest 2 低価格なスタンドアローン型で話題を集めた「Oculus Go」

 その次に2019年、Oculusがリリースした一体型が「Oculus Quest」になる。Gear VRやGoとの一番の違いは、「6DoF」と呼ばれる動きの自由度が向上したことだ。Gear VRやGoは「3DoF」で頭の位置が固定されており、周囲を見回すことしかできなかった。これがQuestの「6DoF」では空間の移動が可能になり、例えば、目の前のキャラクターに歩いて近付いたり、テーブルを回り込んだりする操作を体で実現できるようになった(ポジショントラッキングという)。

 先のRiftやVIVE、PS VRでもこの6DoFを実現していたが、いずれも外部装置を置いて空間におけるユーザーの位置を計測する方式だった(アウトサイドイン)。それがQuestでは、ゴーグルの四辺にある内蔵カメラで周囲をスキャンして空間のマップを作成し、ユーザーの動きをVRの世界に反映してくれる単体での動作を実現した(インサイドアウト)。単純にケーブルがなくて動きやすいというだけでなく、モバイルの割には描画がスムーズで違和感がなかったというのもポイントだ。

Oculus Quest 2 2019年に発売された「Oculus Quest」

 さらにGear VRやOculus Goではコントローラーが片手だったが、Questでは左右両手分を用意し、現実に近い手の動きを再現してVRにおける実在感を高めてくれている。

 まとめると、2016年の「VR元年」で6DoFや両手コントローラーなどを実現しようとするとPCやゲーム機が必要だったところ、ハードの技術革新やソフトの研究開発によって、スタンドアローンの一体型でも実現できるようになったというのが2019年だった。

 もちろんグラフィック性能や周辺機器を併用したモーショントラッキングの精度などを考えると、一体型よりPC VRに軍配が上がるものの、Questは体験の質と手軽さのバランスがちょうどよくて、業界関係者に「最近のVRを知りたいならQuestを買え」と言わしめるほどだった。つまり、「初めてのVR」にぴったりな1台なのだ。

 そうした基礎がしっかりしているだけでなく、Questには実験的な要素も盛り込まれている。実はPCとUSB Type-Cケーブルでつないで、Oculus Rift向けやSteamVR用のアプリを使えるようにする──要するにケーブル1本でPC VRにもなる「Oculus Link」機能もβ版で提供中だ。

 さらに、コントローラーを持たずに、両手の5つの指を認識してメニューなどを操作するハンドトラッキングにまで対応している。

 こういった機能モリモリな要素で十分に評価が高かったQuestに新型が出て性能が向上し、値下げされて、国内での販売網も整えて……というのは、まさに「鬼に金棒」どころか、+ビームシールド+フルアーマーぐらいのレベルで隙を潰してきたという印象だ。先に紹介したOculus Goは2020年内での終売が予告されており、Quest 2一本に絞って本気でVRハードを普及させようとするFacebookの意気込みを感じる。

 なお一体型ゴーグルは、目の前の現実空間にCGを重ねて新しい体験を生み出すMR(Mixed Reality)の分野においても盛り上がっている。

 Microsoftが初代「HoloeLens」を2016年にリリース。2019年11月には「HoloeLens 2」を、2020年6月には国内ではNTTドコモがMagic Leap の「Magic Leap 1」をそれぞれ発売した。KDDIがパートナーシップを結んでいるNrealの「NrealLight」も2020年5月に開発キットの提供を開始しており、一体型の機運が高まってきているのが現在だ。

新旧モデルのスペック比較
モデル名 Oculus Quest Oculus Quest 2
SoC Qualcomm Snapdragon 835 Qualcomm Snapdragon XR2
メモリ 4GB 6GB
片目パネル解像度 1600×1440ピクセル 1832×1920ピクセル
リフレッシュレート 72Hz(60Hzもサポート) 72Hz(今後90Hzもサポート)
バッテリー駆動時間 約2〜3時間 約2〜3時間

 続いて、Oculus Quest 2の詳細を見ていこう。

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