さて本製品ならではのユニークな機能である、外部ディスプレイ増設機能こと、HDMIループ機能について見ていこう。
本製品は、入力用HDMIポートの隣にもう1つ、出力用のHDMIポートが搭載されており、ここに別のHDMI接続のディスプレイを接続することで、表示台数を最大14台まで増やすことができる(ホームページ上は8台とされているが、ここでは付属のユーザーズガイドにある値に従う)。いわゆるデイジーチェーン接続と言えば、ピンと来る人もいるだろう。
この最大14台というのは、本製品同士を数珠つなぎにした場合だが、もちろん他のHDMIディスプレイも接続可能だ。ホームユースであれば、対戦型のゲームをする用途で便利に使えるだろう。ディスプレイの買い足し、買い増しを行う場合はぜひ試してみたい機能だ。
また法人ユースであれば、手元に置いた本製品でプレゼン資料を表示しつつ、その先に接続した大画面ディスプレイを参加者に見せる用途の他、会議室で出席者ごとに本製品を1台ずつ用意し、それぞれの手元で資料を表示するといった使い方も考えられる。
ディスプレイの設置工事なしで、こういった同時表示環境が簡単に手に入るのは、なかなか画期的といえる。本製品は、廉価なモバイルディスプレイでは省略されがちなセキュリティスロットも装備しているので、こうした多くの台数を会議室に常設しておく場合でも、悪意を持った第三者による持ち出しも防止できる。
以上のように、HDMI/USB Type-C両対応という現在のモバイルディスプレイのトレンドは押さえつつ、目先の薄さや軽さよりも、使い勝手や機能を優先した製品といっていい。
現行の他社のモバイルディスプレイは、画面の角度の調整がせいぜい2段階程度しかできなかったり、ポート配置に無理があったりと、コストダウンの結果が使い勝手の悪さにつながっていることもしばしばだが、本製品はそれがない。ストレスなく使えるよう、作り込まれている印象だ。
その一方でベゼル下部にやたらと厚みがあったり、その重量ゆえ可搬性がいまいちだったりと、マイナスもあるにはあるが、このあたりはユーザーによって、プラスの部分と相殺できると考える人も多いだろう。実際に使ってみると格安モデルとの差は明らかなのだが、そうでないとなかなか伝わりにくいのは、少々もどかしい。
実売価格は3万円前半で、機能を省いて低価格化した他社の製品よりは高価だが、作り込みの丁寧さを考えると割高という印象はない。国内代理店であるテックウインドによる1年保証もついてくるので、むしろこの内容で3万円を切ろうとしつつあるのは、お買い得と言っていいだろう。
なお本製品の上位モデルとして、タッチ対応モデルも用意されている。本製品はスタンドがかなりしっかりした構造ゆえ、タッチするたびに画面が徐々に後ろに倒れていくことも考えにくく、実用性は高そうだ。本製品の購入を考えている人は、そちらも候補に入れて検討することをお勧めする。
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