さて、本製品はKindleが使えることを魅力に感じている人が多いのではないだろうか。本製品は、Google Playストアは使えないものの、いくつかの外部アプリをサポートしており、その1つにKindleが挙げられる。
KindleのE Ink純正端末は、7型の「Kindle Oasis」が最大サイズなので、10.3型のE InkパネルでKindleが使える本製品は、この上なくメリットがある。
利用にあたっては、設定画面の外部アプリのページからインストールを実行する。電子書籍アプリであれば何でも使えるわけではなく、完全にKindleだけに絞った仕様なのが興味深い。
インストールが完了してしまえば、後はライブラリーやコンテンツの表示、さらにはストアにアクセスしてのコンテンツ購入など、通常のKindleアプリで行う操作はほぼ問題なく行える。もちろん、日本語テキストの表示にも対応している。解像度も226ppiあるため、クオリティーの部分では全く問題がない。
ただし気になる点はいくつかある。まず1つは、画面を横向きにしての表示が行えず、よってコミックなどで見開き表示ができないことだ。可能なのは、10.3型の画面で、縦向きに1ページを表示することだけだ。本体側にランドスケープモードがあれば問題なく対応するはずで、非常にもったいない。
またページをめくるとき、横スクロールが途中でつっかえてしまい、1ページ目から2ページ目に切り替える途中に、1ページ目の後ろ半分と2ページ目の前半分が表示される状態になるのも気になる。アニメーション表示をオフにしても解消しないので、パフォーマンスの問題と見られる。決して読めないわけではないのだが、少々ストレスだ。
また本製品は濃度の調整機能がないので、色が濃すぎたり薄すぎたりしてメニューが見づらい場合に、手の打ちようがない。同じE InkタブレットのBOOXは、アプリ単位で細かく調整できる機能を搭載しているが、本製品はまだまだといった印象だ。
このように、Kindleアプリが動作するのは事実だが、カラータブレット用に最適化されたアプリをモノクロのデバイスで動かすのに必要なチューニングがまだまだで、メインデバイスとしての運用はためらわれる。こういったノウハウが世代を重ねて蓄積されつつあるBOOXなどと比べ、まだ動かすだけで精一杯という印象だ。
もっとも、右とじ非対応だとか日本語が表示できないとかいった致命的な問題があるわけではないので、出張や旅行といった、デバイスの台数をなるべく集約しなければならない場合は、Kindleアプリが使えることはプラス要因になる。ヘビーに使うのであれば他の選択肢をお勧めするが、予備としては重宝するだろう。
気をつけたいのは、本製品はフロントライトを内蔵しないことだ。最近のE Ink読書端末は、エントリーモデルを除き標準搭載となりつつあるだけに、暗所での利用ができないのは少々マイナスだ。フロントライトを追加して重量が増えると本製品の利点が失われるので難しい問題だが、読書端末としての利用がメインになる場合は考えものだろう。
最後に、本製品のメリットとデメリットを見ていく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.