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» 2021年06月11日 19時15分 公開

AppleがWWDC21で示した情報操作の未来WWDC21レポート(2/4 ページ)

[林信行,ITmedia]

音の有効活用:音声インタフェースと立体音響が体験を刷新する

 今回のWWDCでは、音に関する話題が目立った。Apple Musicの空間オーディオ対応が発表された直後から利用できるようになったため、これまで聞いたことのない立定的な音楽リスニング体験がソーシャルメディアでも大きな話題となった。

 Macの最新機種やiPhone、iPad、さらにはAirPodシリーズや、一部の他社製ヘッドフォンで体験できる空間オーディオ(Apple TVでも対応ヘッドフォンを使うことで体験できる)は、このWWDCで技術仕様(API)が公開され、今後、さまざまな他社製アプリでも活用されるようになる。

 映画や音楽ならともかく、アプリで立体音響といってもピンと来ない人もいるかもしれないが、例えばどんなことが可能になるかという事例をApple自身が形にしている。

 新しいFaceTimeによるビデオ通話だ。複数人のビデオ通話だが、これまでのビデオ会議用アプリでは、参加者の声がスピーカーから普通に聞こえてくるだけだったが、秋以降の新OSのFaceTimeでは、話者が画面上の右に表示されていれば右側から声が聞こえ、左側に表示されていれば左から声が聞こえるといったように音の表現が立体的になるようだ。これがビデオ通話の体験をどのように変えるかは実際に体験してみないことには分からないが、確実に体験の質が向上することは今からでも想像がつく。

WWDC21 FaceTimeによる大人数でのビデオ通話で相手の声が画面上の表示位置から聞こえてくる。この体験をした後、従来のビデオ通話に戻れるのだろうか?

 さらに新しいFaceTimeでは、背景音を消し相手の話し声だけがクリアに届くように「声を分離」することができる。

 面白いのは同様の機能がAirPods Pro単体にも実装されることだ。これを使って例えばにぎやかな場所での会話で、相手の声が聞き取りづらい時にAirPodsがバックグラウンドのノイズを消して、相手の声だけをしっかりと耳に届けてくれる。

WWDC21 AirPods Proでは、目の前にいる相手の声だけを強調する簡易補聴器的な機能が追加される。

 秋以降のApple製OSでは、このように音表現のリッチさが増しているが、音に関する進化はこれだけではない。実は秋以降の最新OSで、Appleは声を使った機器とのやりとりを意識的に増やしている印象がある。

 こちらもAirPodsの事例だが、スーパーに着いたタイミングで買い物リストを読み上げてくれたり、iPhone対応のセキュリティカメラに置き配された宅急便が写ると、それを声で知らせてくれたりといったことも実現する。

 既に紹介したようにSafariのアドレスバーにも目当てのWebサイトを声で指定する機能が追加されているが、それに加えて新たにApple TVやHomeKit仕様のスマート家電も、インテリジェントスピーカーのHomePodを使って音声で操作ができるようになる。

 これまでHomePodシリーズでできる日本語の音声操作は限られていたが、2021年の後半にアップデートを行って音声操作が増え、声質を聞いて誰が話しているかを区別して個別対応する機能が加わる。

 つまり、HomePod miniのSiri機能で明日の予定を追加すると、その予定が他の家族ではなく自分のiPhoneやMacの予定に登録されたり、音楽を再生するように指示を出すとその人の好みに合わせた曲が再生されたりする。さらにSiriを使って、例えば「ご飯ができた」や「早く出かける支度をして」といった声の伝言を、離れた部屋にいる家族にも届けることができるようになる。

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