皆さんは、レノボ・ジャパンが作成した「PCの使い方」動画のことを覚えているだろうか。GIGAスクール構想を受けて学習用端末の貸与を受けた小中学生(特に小学生)を想定して作られた動画は、児童や生徒が私たちの想定を超える“使い方”をすることを示唆している。
学習用端末の普及に合わせて、同社はの兄弟会社であるNECパーソナルコンピュータ(NECPC)では、学習用端末のサポート体制を随時増強している。児童や生徒が使う端末では、どのようなトラブルが多いのだろうか……?
NECPCやレノボが販売したPCの引き取り修理は、NECPCの群馬事業場(群馬県太田市)で一括して行われている。
群馬事業場は元々、NEC(日本電気)の子会社「群馬日本電気(NEC群馬)」として1984年7月に誕生し、PCの開発/生産を担当していた。その後、2002年7月の「NECカスタムサポート」発足に合わせて、NECブランドのPCや周辺機器の診断/修理サービスを行う拠点として生まれ変わった。
2007年7月からは、NECPCの事業場の1つとしてNECブランドのPCや周辺機器の診断/修理を担ってきたが(参考記事)、2014年6月からはLenovoブランドのタブレット端末の修理を、2016年7月からは同ブランドの全てのPCの修理を受託し始めた。NECPCはもちろん、レノボにとっても非常に重要な拠点なのだ。
GIGAスクール構想を受けて、2020年度は小学校や中学校において学習用端末の配備が進んだ。2021年度からは、配備された端末が本格的に稼働を開始する。
しかし、冒頭に触れた通り、児童や生徒は学習用端末を想像以上に“ぞんざい”に扱う。故障した際に、児童/生徒には予備機を渡すことになるだろうが、予備機を潤沢に用意している自治体はそれほど多くない。故障した端末はどんどん修理しないと、予備機が足りなくなってしまう。つまり学習用端末が普及すれば、必然的に修理依頼も増えるということだ。
それはレノボやNECPCも承知している。学習用端末の修理が増えることを想定して、群馬事業所では2020年10月から順次、修理体制の強化を進めてきた。現在は、学習用端末の修理のために、LenovoブランドのPCとほぼ同じ面積の修理エリアを確保しているという。
学習用端末では、通常のPCと比べると落下や取り扱い不注意による破損の比率が多いという。机から落としたり、壁などにぶつけてしまったりといったように、学校内での破損と思われる事例が多いそうだ。
群馬事業場のバーチャルツアーでは、実際に修理依頼のあった2台の学習用端末が披露された。1台は落下でボディーの一部とキートップが欠損し、もう1台は画面の一部が破損していた。
セカンドマップでは、学習用端末について習熟したスタッフが修理を担当する。申告箇所以外の異状も見逃さず、しっかりと修理する体制が構築されている。
Lenovoでは、2021年度にサービス事業の強化を進める方針を打ち出している。
この方針に基づいて、Lenovoは世界11カ所に法人向けのキッティングやカスタマイズを引き受ける「カスタム・フルフィルメント・サービス(CFS)」の拠点を順次設置している。日本ではNECPC群馬事業場に「Lenovo Japan CFS」が設置されることになり、2020年12月から試験運用が、2021年2月から正式運用が始まった。
Lenovo Japan CFSは、Windows 10/11で利用できる「Windows Autopilot」ベースのゼロタッチデプロイメントのサポートを行う他、従来型のキッティングにも対応できる。企業によっては、セキュリティの観点から自社で定めた手順に基づくキッティングを要求することもあるが、このような要望にも応じられるとのことだ。
製造業を中心にニーズの高いAndroidタブレットのキッティングも可能で、アプリを活用することで迅速かつ丁寧に作業を進められるそうだ。
CFS用のエリアは増床が決まっており、2021年10月までに現在の2倍の面積と能力に増強されるという。
さらに、群馬事業場では2021年1月から、モトローラ(Motorola)製スマートフォンの一部モデルの修理も受託し始めた。
これはモトローラ・モビリティ・ジャパンからの打診を受けた取り組みで、「グループが保有するリソースを有効活用する」というLenovoグループ全体の方針に基づいているそうだ。
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