「MicrosoftとQualcommの独占契約が間もなく終了」報道を考える:Windowsフロントライン(2/2 ページ)

» 2021年11月30日 06時00分 公開
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Qualcommの本当の狙い

 今回の話題が出てくる背景には、Windows on Arm周辺での動きがここにきて活発化し始めたからだ。例えばThe Vergeでトム・ウォーレン氏が触れているが、XDA Developersの報道の少し前には台湾MediaTek共同CEOのリック・ツァイ(蔡力行)氏がWindows on Arm向けSoCの提供に言及しており、何らかの動きがあることを示唆している。

 もともとMediaTekが主力とする分野はミドルレンジ以下であり、近年5Gに力を入れていることを考えれば、Qualcommがラインアップの分割で製品を“厚く”している部分と直接競合し、かつ5Gでのアドバンテージを得られる可能性がある。またウォーレン氏はAMDがMicrosoftと共同でArmベースのノートPCを開発しているというウワサにも触れており、こうした話を補完する形になっている。

 ただ、ZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏はこうした流れやウワサに懐疑的であり、その理由の1つに同氏がいまだ自身の情報源から「Windows on Arm(Windows on Snapdragon)」関連の計画を諦めたという話を聞いていないことを挙げている。実際のところ何らかの変化はあるものの、大枠での計画に変化はないというのが正しいのかもしれない。

 Microsoftはともかく、Qualcommにフォーカスを当てると興味深いのは同社が2021年1月に発表した米Nuviaの買収だ。買収は既に3月に完了しており、同社の技術が近い将来にもQualcommの製品に投入されるとみられている。

 Nuviaは2019年創業と、半導体スタートアップとしては新参中の新参だが、創業メンバーには元AppleやGoogleのメンバーが加わっており、特にAppleでMac製品のM1移行を推進した中心メンバーが含まれているという点で話題になっている。

 そのため、Nuvia買収後のQualcommがApple M1対抗のSoCを間もなくリリースするというウワサは絶えず出ており、実際にQualcommがPC向けプロセッサの目標の1つとしてM1を意識しているのはある意味で間違いないだろう。

Qualcomm Apple Appleが手がけるSoC「Apple M1」

 一方で、2021年春に完了した買収から1〜2年で製品がすぐに市場投入されるとはとても考えられない。むしろもっと長い視点で、かつ全体戦略をみていく必要があるのではないかと考える。

 例えば、NuviaがターゲットとしていたのはPC向けではなく「データセンター向けSoC」であり、むしろ製品としてはキャンセルされた「Centriq 2400」の路線に近い。技術的にはPC向けと共通部分はあるだろうが、Nuvia買収が何を意味しているのかを考えれば、今後さらに需要の増えるデータセンター向け製品ラインアップをさらに強化する可能性の方が高いのではないかと思える。

 Qualcommとしてはスマートフォンやタブレットといった既存製品のみならず、XRからデータセンターまで、ラインアップを広げてカバーする市場を広げることで、ビジネスを安定させるべく動こうとしているのではないかというのが筆者の推測だ。

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