パフォーマンスについて見ていこう。もともとワイヤレスディスプレイはその仕組み上、有線に比べてレスポンスは遅れがちだ。特に本製品の場合、Android上でアプリとして動作しているので、Androidを介さずにHDMI経由で映像信号を直接出力していた以前の「Yoga Tab 13」よりも不利なことは明らかだ。
しかし本製品は、ワイヤレスで出力しているとは思えないほどパフォーマンスが高い。さすがに有線接続のモバイルディスプレイに比べると、テキスト入力などのレスポンスはほんの一拍遅れるものの、実用レベルに十分に達している。
本製品と仕組みがよく似たアプリに、「Duet Display」のワイヤレスモード(Duet Air)があるが、こちらはテキスト入力で変換候補がワンテンポ遅れて表示されたり、文字を削除するためにBackSpaceキーを5回押したはずが、4回しか認識されなかったりといったことがある。解像度とフレームレートを極限まで下げれば多少緩和されるが、完全になくなるわけではない。
しかし本製品のワイヤレスディスプレイは、こういった症状もほぼ皆無で、手心を加えなくともほぼ通常のスピードでテキスト入力が行える。リフレッシュレートが30Hzで固定されているせいかWebページの縦スクロールなどはややカクつくが、YouTube動画の再生などは全くハンディを感じない。
ちなみに、解像度も「2560×1600」固定だ。Windows側で拡大率の設定は可能とはいえ、前述のリフレッシュレートも含めてもう少し融通が利いてもよさそうなものだが、それらが可能なDuet Displayと比べてもパフォーマンスははるかに上で、どちらがお勧めかと言われると、筆者は間違いなく本製品を選ぶ。Duet Displayと違い、アプリが強制終了するような不安定さも皆無だ。
以上のように本製品のワイヤレスディスプレイ機能は、タブレット本体からするとおまけに近い位置付けながら、実用性は十分だ。実売価格は10万円超え(原稿執筆時の直販価格は税込み11万8602円)ということで、サブディスプレイ機能のためだけに買う製品ではないが、買った人は使わなくては損をする機能と言える。
そもそも前述のDuet Displayは有料アプリであり、同等の機能を持った「Luna Display」も約1.5万円ものドングルの購入が必要になる。その点、本製品のサブディスプレイ機能は無料ときている。使わない手はないだろう。
今回は割愛したがタブレットとしての実力もかなりのもので、ベンチマークのスコアも高い。キーボードも、タッチパッドがやや硬く押し込みづらいのは気になるが、日本語配列にクセもなく、キーピッチにも余裕があって使いやすい。
もちろんレスポンスだけを見れば、有線で接続する市販のモバイルディスプレイにはかなわないし、ペアリングの手間もかかるぶん「挿せばすぐ使える」手軽さはない。しかし、タブレットとして独立して使えることから、外出先でメインマシンが使えなくなった時の控えとしても有用だ。選択肢が少ないハイスペックなAndroidタブレットであることも含めて、お勧めできる1台と言える。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.