先述の通り、モバイル向けRyzen 6000シリーズは、消費電力当たりの処理パフォーマンスとプロセッサの面積当たりの処理パフォーマンスの改善にフォーカスを当てて開発された。そのこともあって、AMDはこのAPUのことを「低消費電力におけるx86プロセッサのチャンピオン」と自称している。
Intelの最新の第12世代Coreプロセッサ(開発コード名:Alder Lake)では、処理パフォーマンス重視の「Pコア」と、効率(省電力)重視の「Eコア」を併載することで全体のパフォーマンスを向上している。AMDはこの点に着目し、「(基本消費電力が)28Wだと競合はPコアが6基なのに対して、Ryzen 6000シリーズなら“完全なZen 3+コア”を8基使える」「(基本消費電力が)5Wだと競合はPコアがたった2基なのに対してRyzen 6000シリーズなら“完全なZen 3+コア”を8基使える」とアピールしている。
端的にいうと、Ryzen 6000シリーズなら、同じ消費電力でより多くの“完全なパフォーマンス”を発揮できるコアを搭載できるということだが、比較対象となる28Wの「Pプロセッサ」と15Wの「Uプロセッサ」を搭載する製品はまだリリースされていない。AMDの言う通りの優位性が発揮できるかどうかは未知数な面もある。
モバイル向け第12世代Coreプロセッサのうち、ハイエンド向けの「Hプロセッサ」だけは既に搭載製品が市販されている。そこで、AMDは「Core i9-12800HK」(Pコア:6基12スレッド、2.5GHz〜5GHz/Eコア:8基8スレッド、1.8GHz〜3.8GHz)と「Ryzen 9 6900HS」(3.3GHz〜4.9GHz、8コア16スレッド)で消費電力当たりのパフォーマンスを比較した。
それによると、Ryzen 9 6900HSの消費電力当たりの処理パフォーマンスはCore i9-12800HKの最大2.62倍となったという。「市場(ユーザー)はより長いバッテリー持ちとより薄い形状を好む」ことから、Ryzen 9 6900HSは「競合(Intel)が作ろうともがいている薄くて軽い形状に最適」だとしている。
ハイエンドレンジ以外のAPUは、現行の第11世代Coreプロセッサと比較が行われた。いずれも消費電力の低いRyzen 6000シリーズの方が性能が良い(同じ消費電力ならなおさら)という結果となっている。
モバイル向けRyzen 6000シリーズを搭載するノートPCは、以下のスケジュールで順次登場する見通しだ。
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