往路は、N700系を使った広島行き「のぞみ85号」のS Work車両に乗車する。新型コロナウイルスの感染拡大も一段落したかと思ったら「オミクロン株」が広がり、人の行き来がまた制限されてしまったのはご存じの通りだ。そのせいか、新幹線に乗車する人も少なく、S Work車両に乗ってきたのは20人くらいだった。所々空席がありながら、窓際席(3人掛け座席の「A席」と2人掛け座席の「E席」)が埋まっているという感じだ。
「なぜ窓際? 車窓を楽しみたいのかな?」と思いがちだが、特にS Work車両の場合は別の理由もある可能性が高い。N700系の普通車は、窓際の席か進行方向先頭の席にのみコンセントがあるからだ。
筆者はE席(山側)の席を確保した。前の席には人がおらず、後ろの席には1人いる状況である。
東海道新幹線は、出張を始めとするビジネス客の利用が多い。そのこともあり、ノートPCを開いて仕事をしている人もちらほら見かける。一方で、周囲の目が気になって、ビジネス目的での移動でも、社内ではあえてノートPCを開かないという人もいる。筆者はどちらかというと後者で、新幹線を利用する場合はノートPCを開いて仕事をすることはあまりない。
しかし、S Work車両は(趣味的に乗る人を除けば)ビジネス客が“仕事をするために”わざわざ予約して乗ってくる。そのこともあり、ノートPCのキーボードを打っても、それほど引け目を感じないのがポイントだ。携帯電話での通話やWeb会議も“周囲への配慮”を条件に利用できるので、「電話が掛かってきて、通話をするためにデッキ(乗降ドアの区画)に移動していたら切れてしまった」なんていうことも避けられる。
なお、筆者が乗った列車では、ノートPCを出して作業をしている人が結構いた(当然といえば当然だが)。ただし、Web会議をしている人は見かけなかった。
ただし、N700系を使う列車固有のデメリットもある。それはWi-Fiだ。
先述の通り、N700系のS Work車両にはShinkansen Free Wi-Fiしかない。このサービスは接続回数に制限はないものの、30分ごと接続認証をし直さなければならない。仕事をしていると、30分なんて時間はあっという間に過ぎてしまう。何か調べ物をしようとブラウザを起動すると、再認証を求められるなんてこともままある。Web会議をする場合、会議中に突然切断されるという可能性もあるだろう。再接続はすぐに行えるとはいえ、積み重なると意外とストレスを感じてしまう。
ちなみに、Googleの「インターネット速度テスト」を利用して、新横浜駅を出発したあたりで通信速度を測定した所、ダウンロードが8.9Mbps、アップロードが5.5Mbpsという結果だった(3回テストした平均値)。Webブラウジングには十分な速度ではある。
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