プロナビ

東海道・山陽新幹線に乗るビジネスパーソン必見! 話題のテレワーク対応「S Work車両」に乗ってきた(1/3 ページ)

» 2022年03月04日 13時30分 公開
[今藤弘一ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 JR東海(東海旅客鉄道)とJR西日本(西日本旅客鉄道)が2021年10月1日から東海道・山陽新幹線で試行している「S Work車両」をご存じだろうか。「新幹線で気兼ねなくテレワークできる」という触れ込みで、客室内での携帯電話での通話やWeb(ビデオ)会議の利用が認められている車両である。

 筆者は先日、取材のために兵庫県姫路市を訪れることになった(関連記事)。東海道・山陽新幹線を使って行くことになるので、せっかくだからと「S Work車両って実際にどうなのよ?」と乗車してみたので、そのレポートをお届けしよう。

のぞみ85号 筆者が往路で乗ったのは広島行き「のぞみ85号」。N700系が充当されていたが、実は充当車種によってサービスに差異がある(詳しくは後述する)

予約は「EX予約」「スマートEX」でのみ受付

 S Work車両は、東海道・山陽新幹線を運行する全ての「のぞみ号」の7号車に設定されている。のぞみ号では元からこの号車は指定席……なのだが、実は「みどりの窓口(きっぷうりば)」や「指定席券売機(みどりの券売機)」では購入できない。座席検索をかけると、常に“満席”なのだ。

e5489 JR西日本の乗車券予約サービス「e5489(イーゴヨヤク)」でのぞみ号の空席をチェック。このシステムで表示される空席情報はみどりの窓口や指定席券売機で表示されるものと同様なのだが、のぞみ号で空席照会を掛けると、どの列車も7号車が常に“満席”となっている

 そうなると「え、もしかしてS Work車両は幻の存在なのでは……」と思ってしまいそうだが、慌ててはいけない。実はS Work車両の座席を指定(予約)するには、JR東海とJR西日本が共同で運営している会員サービス「エクスプレス予約(EX予約)」または「スマートEX」を利用する必要があるのだ。

 EX予約はJR東海とJR西日本が指定するクレジットカードを所有している人が利用できるサービスで、年会費は1100円(税込み)だ(※1)。スマートEXは手持ちのクレジットカード(※2)で利用できるサービスで、年会費は無料である。東海道・山陽新幹線の利用頻度が多い人は、年会費を払ってでもEX予約会員になった方がお得である。詳しくは、以下のリンクの記事を参照してほしい。

(※1)JR東海の「エクスプレスカード」やJR西日本の「J-WESTカード(エクスプレス)」は、クレジットカードの年会費に含まれる
(※2)EX予約会員として登録されているクレジットカードは原則として登録できない

 EX予約かスマートEXにログインして列車の座席を予約する際に、のぞみ号を選択すると運賃リスト(座席種別一覧)に「EX予約(スマートEX)S Work席」なる運賃が表示される。S Work車両の座席を予約したい場合は、この運賃を選択すればよい。

「S Work車両」が設定されない期間もある

 S Work車両は原則として通年設定されます。ただし、繁忙期(乗客の多い時期)の中でも、特に乗客が多くなる期間は設定されない場合があります(この場合、7号車は通常の普通車指定席として運用されます)。2022年2月15日時点において、S Work車両を設定しないことが決まっている期間は以下の通りです。

  • 2022年4月27日〜5月8日
  • 2022年8月11日〜8月21日

予約 S Work車両の予約は、EX予約またはスマートEXでのみで受け付けている。のぞみ号の運賃一覧にある「EX予約(スマートEX)S Work席」を選ぼう。座席は「お任せ」でも良いが、特にN700系ではコンセントのある席に限りがあるため、可能なら自分で「窓際の席(A席かE席)」あるいは「進行方向先頭の席」選んだ方が良い
S Work車両 繰り返しだが、S Work席はのぞみ号の7号車に設定されている。みどりの窓口や指定席券売機では7号車の指定はできなくなっているので注意しよう

乗車する“車種”によってサービスに差がある

 S Work車両はのぞみ号の全列車に設定されている。ただし、列車の“車種”によってサービスに差分がある

 のぞみ号で使われる車種(車両)は、大きく分けると「N700(N700A)系」と「N700S系」の2種類ある。N700系を使う列車では、無料公衆Wi-Fi(無線LAN)サービス「Shinkansen Free Wi-Fi」を使ってインターネット通信を利用できる。無料なのだが30分ごとにWebブラウザ上での接続認証をし直さなければいけないので注意しよう。

 一方で、N700S系を使う列車では、7号車と8号車(グリーン車)において「S Wi-Fi for Biz」という無料公衆無線LANサービスも利用できる。Shinkansen Free Wi-Fiとの差異は以下の通りだ。

  • 通信容量が2倍(≒実効通信速度がより高速)
  • 接続時間制限がない(=30分ごとの再認証が不要)
  • Wi-Fiのセキュリティ(暗号化方式)がより高度
  • 接続認証完了後の「ポータルサイト」(※3)から以下のサービスを無料で利用可能
    • dマガジン(雑誌の読み放題サービス)
    • flier(ビジネス書籍の要約サービス)
    • グロービス学び放題(ビジネスナレッジ動画配信サービス)
    • WEBGYM(移動中にできるエクササイズを紹介)

(※3)一部のスマホ/タブレットではポータルサイトが表示されないことがある(インターネット接続を確認すると認証画面を閉じるため)

 さらに、東海道新幹線の新横浜〜京都間では、S Work車両において以下のアイテムの無料貸し出しも行っている。ただし、貸し出せる数には限りがあるので、必要なら利用可能区間にさしかかったら早めにパーサーまたは乗務員に申し出よう。

  • 膝上クッション
  • 簡易ついたて
  • 小型マウス
  • ノートPC用ACアダプター(USB Type-C接続)
  • USB充電器

 このように、N700S系を使うのぞみ号の方が“至れり尽くせり”なようにも思えるが、実際はどうなのか――今回は往復することを生かして、両車種を使い比べていく。なお、N700S系で運行される列車はJR東海のWebサイトで確認できるので、予約する前に確認しておくと良いだろう。ただし、ダイヤの乱れや車両運用の都合でN700S系を使う予定の列車に急きょN700系が投入されることもあるので気を付けたい。

S Wi-Fi N700S系を使うのぞみ号のS Work車両(7号車)と8号車では、Shinkansen Free Wi-Fiとは別に「S Wi-Fi for Biz」という公衆無線LANサービスを利用できる
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

最新トピックスPR

過去記事カレンダー