11世代Core i7を搭載した8型の超小型PC「GPD Pocket 3」でトリプルディスプレイ環境を構築(2/3 ページ)

» 2022年04月14日 12時00分 公開
[渡辺まりかITmedia]
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親子対決? MicroPCとの違いを見ていく

 ここからは、MicroPCとPocket 3の違いを見ていこう。

 前回取り上げたMicroPCも、6型の液晶ディスプレイを採用した超小型サイズなのに、キビキビ動くのが心地よかったが、さすがにPocket 3と比べると見劣りしてしまう。

GPD Pocket 3 奥が6型のMicroPC、手前が8型のPocket 3。どちらもズボンの尻ポケットには入らなかった
GPD Pocket 3 底面の比較。MicroPCのサイズは約153(幅)×113(奥行き)×23.5(厚さ)mm、重量は公称値で約440gと、ざっくり二回りほど違う

 MicroPC 2021verが前モデルからグレードアップしたといっても、CPUは4コア4スレッドのCeleron N4120(1.1GHz〜2.6GHz)で、Pocket 3のCore i7-1195G7とは性能面でかなりの違いがある。SSDもM.2 SSDながらPCI Express 3.0接続とSerial ATA接続、メモリの容量も倍の差がある。

 ボディーの材質もMicroPCはABS合成樹脂なのに対し、Pocket 3はアルミニウム合金製だ。見た目はまさに親子モデルのようだが、価格や位置付けが異なるだけに当然と言えば当然だろう。

GPD Pocket 3 左がMicroPCで右がPocket 3。写真では分かりづらいが、アルミニウム合金製ボディーを持つPocket 3の方が質感が高い

 購入したモデルには、容量1TBのPCI Express 3.0 x4接続SSD(BIWIN SSD)が採用されており、「CrystalDiskMark 8.0.4」(ひよひよ氏作)を使ったテスト結果の平均値は読み出しが毎秒約2087.1MB、書き込みは毎秒約1955.4MBだった。

 MicroPCでは読み出しが毎秒約557.9MB、書き込みが毎秒約507.0MBで、ドラゴンクエストX オンライン ベンチマークソフトのスコアは2271の「やや重い」(標準品質/1280×720/フルスクリーン)に対し、Pocket 3では8850.8の「とても快適」(最高品質/1920×1080/フルスクリーン)だった。

GPD Pocket 3 CrystalDiskMark 8.0.4のテスト結果比較。左がMicroPC、右がPocket 3で、スコア差はあるがWebの閲覧やYouTubeの鑑賞などでは大きな違いは感じない
GPD Pocket 3 こちらはドラゴンクエストX オンライン ベンチマークソフトのテスト結果。設定条件が異なるものの、Intel Iris Xe Graphicsを搭載したPocket 3が断然有利だ

 キーボードの違いも大きい。MicroPCではガラケーのようなキー“ボタン”だが、Pocket 3は、ちゃんと“キーボード”になっている。

GPD Pocket 3 Pocket 3のキーボード。主要キーのレイアウトはほぼ通常タイプながら、「P」「L」キーより右列にあるキーをファンクションキー段のさらに上段へ移している
GPD Pocket 3 キーボードの違い。左のMicroPCはポチポチと押すタイプに対し、右のPocket 3は通常のタイプ感を得られる

 キーピッチは約16mmとやや狭めながらも、ローマ字入力をする人であれば慣れは必要だがタッチタイピングもできるだろう。筆者はかな入力なので、多少苦戦を強いられる。

 濁点は「[」キー、半濁点は「]」キー、「む」「ほ」「へ」はそれぞれ「¥」「−」「^」となっているため、これらを入力する際は目視で確認しなければならない。それ以外にも、数字キー(かな入力では「ぬ」「ふ」「あ」「え」「お」「や」「ゆ」「よ」「わ」にあたる)の高さが、その他のキーのそれよりも半分程度なので、入力ミスをしていないかチェックが必要だ。

GPD Pocket 3 16mmのキーピッチ。ボディーギリギリのところまで頑張って詰め込んだなと思う
GPD Pocket 3 アルファベットキー高さが約14mmなのに対し、数字キーなどは約7mmと半分になっている

 キーボード上部の右側にタッチパッド、左側にクリックボタンとスクロールボタンが並んでいるのは(大きさこそ違えど)同じなため、操作するのに手間取ることがない。

 こういった配置からも、MicroPCとPocket 3は両手で本体を持って左右の親指だけで操作することを想定したモデルだ。一方で、 MicroPCは本体の幅が約153mmだったのに対し、Pocket 3は約198mmと広くなっているので、手が大きく親指が長くないと、上下段のキートップをタイプするのは苦しいサイズではある。

GPD Pocket 3 左から左クリックボタン、スクロールボタン、右クリックボタン、電源ボタンを挟んでタッチパッドが並ぶ。MicroPCにはファンのオン/オフスイッチがある

 また、Pocket 3の電源ボタンは指紋認証センサーも兼ねており、パスコードまたはPINを入力しなくて済むのが楽でいい。MicroPCでは、スリープから復帰させたり、起動させたりする際に、いちいち入力する手間が発生するからだ。

 細かいところでは、手持ちの個体差の可能性があるものの、長時間のスリープ後、ディスプレイを開いたときに復帰画面が表示されるのはMicroPCの方がスピーディーで、小気味いい。Pocket 3では、液晶ディスプレイを開いて「電源ボタン、押した方がいいかな?」と思うほど遅く、「えいや」と押すと、復帰どころかまたスリープに戻ってしまうということが多々あった。起動してしまえばキビキビ動くだけに、それが残念な部分だ。

GPD Pocket 3 MicroPCを上、Pocket 3を下に置いて比べてみた。両モデルとも前面に切り欠きがあり、液晶ディスプレイを開けやすい
GPD Pocket 3 MicroPCは背面にインタフェースがまとまっているのが分かる
GPD Pocket 3 こちらは左側面
GPD Pocket 3 右側面

 最後に、Pocket 3を実戦に投入して分かったことをまとめた。

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