ここからは、MicroPCとPocket 3の違いを見ていこう。
前回取り上げたMicroPCも、6型の液晶ディスプレイを採用した超小型サイズなのに、キビキビ動くのが心地よかったが、さすがにPocket 3と比べると見劣りしてしまう。
MicroPC 2021verが前モデルからグレードアップしたといっても、CPUは4コア4スレッドのCeleron N4120(1.1GHz〜2.6GHz)で、Pocket 3のCore i7-1195G7とは性能面でかなりの違いがある。SSDもM.2 SSDながらPCI Express 3.0接続とSerial ATA接続、メモリの容量も倍の差がある。
ボディーの材質もMicroPCはABS合成樹脂なのに対し、Pocket 3はアルミニウム合金製だ。見た目はまさに親子モデルのようだが、価格や位置付けが異なるだけに当然と言えば当然だろう。
購入したモデルには、容量1TBのPCI Express 3.0 x4接続SSD(BIWIN SSD)が採用されており、「CrystalDiskMark 8.0.4」(ひよひよ氏作)を使ったテスト結果の平均値は読み出しが毎秒約2087.1MB、書き込みは毎秒約1955.4MBだった。
MicroPCでは読み出しが毎秒約557.9MB、書き込みが毎秒約507.0MBで、ドラゴンクエストX オンライン ベンチマークソフトのスコアは2271の「やや重い」(標準品質/1280×720/フルスクリーン)に対し、Pocket 3では8850.8の「とても快適」(最高品質/1920×1080/フルスクリーン)だった。
キーボードの違いも大きい。MicroPCではガラケーのようなキー“ボタン”だが、Pocket 3は、ちゃんと“キーボード”になっている。
キーピッチは約16mmとやや狭めながらも、ローマ字入力をする人であれば慣れは必要だがタッチタイピングもできるだろう。筆者はかな入力なので、多少苦戦を強いられる。
濁点は「[」キー、半濁点は「]」キー、「む」「ほ」「へ」はそれぞれ「¥」「−」「^」となっているため、これらを入力する際は目視で確認しなければならない。それ以外にも、数字キー(かな入力では「ぬ」「ふ」「あ」「え」「お」「や」「ゆ」「よ」「わ」にあたる)の高さが、その他のキーのそれよりも半分程度なので、入力ミスをしていないかチェックが必要だ。
キーボード上部の右側にタッチパッド、左側にクリックボタンとスクロールボタンが並んでいるのは(大きさこそ違えど)同じなため、操作するのに手間取ることがない。
こういった配置からも、MicroPCとPocket 3は両手で本体を持って左右の親指だけで操作することを想定したモデルだ。一方で、 MicroPCは本体の幅が約153mmだったのに対し、Pocket 3は約198mmと広くなっているので、手が大きく親指が長くないと、上下段のキートップをタイプするのは苦しいサイズではある。
また、Pocket 3の電源ボタンは指紋認証センサーも兼ねており、パスコードまたはPINを入力しなくて済むのが楽でいい。MicroPCでは、スリープから復帰させたり、起動させたりする際に、いちいち入力する手間が発生するからだ。
細かいところでは、手持ちの個体差の可能性があるものの、長時間のスリープ後、ディスプレイを開いたときに復帰画面が表示されるのはMicroPCの方がスピーディーで、小気味いい。Pocket 3では、液晶ディスプレイを開いて「電源ボタン、押した方がいいかな?」と思うほど遅く、「えいや」と押すと、復帰どころかまたスリープに戻ってしまうということが多々あった。起動してしまえばキビキビ動くだけに、それが残念な部分だ。
最後に、Pocket 3を実戦に投入して分かったことをまとめた。
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