カードを用意したら、さっそくMate タイプMBに組み込む。前回も触れた通り、このPCは工具なしで本体内部にアクセスできる。PCI Express 3.0スロットも同様で、少なくともグラフィックスカードを組み込む“だけ”であれば工具は一切不要だ。
ただし、RD-RX6400-E4GB/LPは出荷時に通常プロファイルのブラケットが取り付けられているので、ロープロファイルブラケットに取り換えるためにプラスドライバーが必要となる。逆に、Radeon PRO W6400は出荷時にロープロファイルブラケットが取り付けられているため、Mate タイプMBへの組み込みに当たって追加の作業はいらない。
……と、組み込む前に「物理的にカードは入るの?」という疑問があるだろう。Mate タイプMBのPCI Express 3.0スロットが許容するカードのサイズと、今回試すグラフィックスカードのサイズは以下の通りとなっている(幅はブラケット部を除く)。
結論からいうと、いずれのカードも組み込み自体は問題なく行える。Radeon PRO W6400の奥行きが許容サイズを3mmほど超過しているが、実際はギリギリながらドライブベイの開け閉めには支障しない。
カードの取り付け手順は以下の通りとなる。手順はオンラインマニュアルの「活用ガイド」でも確認可能だ。
繰り返しだが、グラフィックスカードを組み込む“だけ”であれば工具は一切要らない。非常に簡単に装着可能だ。
今回のレビューでは、CPU内蔵GPU(Intel HD Graphics 530)、Radeon RX 6400、Radeon PRO W6400における最新かつ製品版のグラフィックスドライバーを利用して検証を行う。具体的には以下のバージョンのドライバーを用いる。
「あれ、Radeon PRO W6400のドライバーが古くない?」と思ったかもしれないが、これはRadeon PROシリーズ用の「Radeon PRO Software」のVer. 21.Q4に含まれるドライバーを用いたためである。Radeon PRO Softwareに含まれるグラフィックスドライバーは、ISV(独立ソフトウェアベンダー)の認証を取得しており、業務利用がメインであれば信頼性の面でこのドライバーを使う方が有利である。
Radeon RX 6400(RD-RX6400-E4GB/LP)のドライバーは、通常通り「AMD Software: Adrenalin Edition(旧Radeon Software Adrenaline)」に含まれるものである。AMD Softwareに含まれるグラフィックスドライバーはRadeon PRO W6400にも適用できるが、5月1日現在、βドライバーが自動適用されてしまうため、今回はRadeon PRO Softwareのドライバーで検証することにした次第である。
テストをする前に気になるのが、Radeon RX 6400とRadeon PRO W6400に“差”があるのかどうかである。先述の通り、パッと見のスペックでは両者に違いはほとんどない。そこで「GPU-Z」を使ってGPUの情報を見比べてみた。
するとGPUダイ(コア)は両者共に「Navi 24」であることが分かった……のだが、Radeon PRO W6400のシェーダー数が少なくなっていたり、一部の項目が正常に表示されていなかったりした。「ISV認証や手厚いサポートがあるとはいえ、これで約1万5000円程度の価格差があるのはちょっとなぁ……」と思ってしまった。
……のだが、「β版でもAMD Softwareのドライバーを適用したらどうなるだろう?」と思い立って、AMD Softwareに含まれるβ版のドライバー(Ver. 30.0.15021.7000)を適用した所、Radeon RX 6400とRadeon PRO W6400には“物理的な”スペック差はほぼないことが分かった。強いて違いを挙げるなら、グラフィックスメモリのベンダーが異なるくらいである(Radeon RX 6400はMicron、Radeon PRO W6400はSamsungだった)。
ともあれ、今回のテストは先述の通り「最新かつ製品版」のグラフィックスドライバーで行う。ドライバーの違いが、どのような結果をもたらすのかは見ものである。
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