果たして、約5年前のスリムデスクトップPCはグラフィックスカードによってパワーアップするのか――ベンチマークテストを通してチェックしていこう。
大半の人にとって、PCを使う主な目的は「Webブラウズ」「オフィスアプリの利用」「簡単な写真や動画の処理」だろう。そこでまず、「PCMark 10」を使って“普段使い”の性能を確認してみた。結果は以下の通りだ。
ご覧の通り、Radeon RX 6400やRadeon PRO W6400を搭載するとスコアが全体的に向上する。僅差ではあるが、Digital Content Creation以外のテストはPROドライバーを使ったRadeon PRO W6400の方が良いスコアを記録した。
EssentialsではWeb会議とWebブラウジングのパフォーマンスが向上した一方で、アプリの起動時間は大差なかった。アプリの起動時間を改善するには、やはりメインメモリやストレージの増設/換装を検討した方が良いかもしれない。Mate タイプMBのメインメモリは最大64GB(16GB×4)搭載可能で、ストレージはSerial ATA 3.0のものに対応している(※1)。
(※1)PCI Express接続のSSDを搭載する場合は、別売の増設用カードが必要
Productivityでは、特に表計算アプリのシナリオにおけるスコアの伸びが大きかった。意外かもしれないが、パフォーマンスの高いGPUは表計算アプリのパフォーマンスを改善する。シートの列や行が多い場合、あるいはグラフを多く埋め込んでいる場合はGPUパワーがモノをいうことが多い。Excelを始めとする表計算アプリを多用している場合、グラフィックスカードの増設は“効果てきめん”だ。
Digital Content Creationでは、少し面白い結果となった。合計スコアだけを見ると「お、これは結構パワーアップしている」と思うかもしれない。しかし、テストの個別スコアを見てみると、写真編集とレンダリングのスコアは大幅に向上した一方で、ビデオ編集のスコアが少し落ち込んでいる。
特に指定をしない限り、PCMark 10ではDigital Content Creationの各種テストを外部GPUを利用して行う。恐らく、Radeon RX 6400やRadeon PRO W6400がH.264やH.265(HEVC)のエンコーダーを備えないことが、スコアに影響したものと思われる。
Radeon RX 6400やRadeon PRO W6400を搭載するPCで動画のエンコードを行う場合、スペックによってはCPU(ソフトウェア)エンコードを選んだ方がパフォーマンス的に有利な可能性もある。「動画エンコードを強化したい」という目的がある場合は、今回はレビューしないがお目当てのエンコーダーを備えるグラフィックスカードの方が有利だろう。
「せっかくグラフィックスカードを搭載したのだから、ゲームを楽しみたい!」という人もいるだろう。そこで、「3DMark」を使って3Dグラフィックスのテストをしてみた。3DMarkによるテストは描画負荷が一般的なゲームよりも高めなので、3DMarkである程度のスコアを出せれば快適なプレイが期待できる。
今回は、DirectX 12ベースの「Time Spy」(描画解像度:2560×1440ピクセル)と、DirectX 11ベースの「Fire Strike」(描画解像度:1920×1080ピクセル)の2種類のテストを実施し、結果は以下の通りとなった。
Radeon RX 6400やRadeon PRO W6400を搭載した場合、スコアが実に約9.7〜12.5倍にもなった。GPU補助電源がなくても稼働するグラフィックスカードと考えれば、案外健闘しているようにも思える。
少し古めの3Dゲームはもちろん、新しめの3Dゲームでも「軽量品質」「ライトモード」であれば何とか楽しめそうだ。
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