豊かな暮らしを支える最新テクノロジーを一堂に集めた展示会「CEATEC 2022」が、10月18日〜21日(オンライン会場は10月31日)まで開催中だ。その前日の17日には、報道陣向けにメディアコンベンションが行われた。その中で見つけた興味深いテクノロジーを紹介する。
CEATECは2000年にデジタル家電見本市として第1回が開催されたが、2016年には脱・家電見本市を宣言しており、Society 5.0の総合展という立ち位置をとっている。
メタバースが身近になっている今、バーチャルとリアルを融合する新しいサスティナブルな社会──Society 5.0の実現にどれほど近づいているのだろうか。
今回、CEATECとして初めて「METAVERSE EXPO JAPAN」を会場内で同時開催していた。メディアや一部関係者向けに7月27日と28日に開かれた展示会を一般に公開したもので、参加企業として新たにREALITY、MyAnimeList、サンリオなどが加わっている。
主催のMetaは「東京ゲームショウ2022」に続き、Meta Quest 2を体験できるブースを展開していた。今回は、ビジネス用途としていかに使えるかを訴求する。
体験できるのはバーチャルオフィスの「Workrooms」だ。Quest 2を装着すると、そこはバーチャルオフィスが現れる。アバターの姿を借りた「Saburo」さんとミーティングを行える(実際には、お互いに音声がミュートになっているので、ジェスチャーのみでのやり取りになる)。
ホワイトボードモードに切り替えれば、コントローラーがホワイトボードマーカーに早変わりする。ハプティックフィードバックがあるので、慣れればリアルなホワイトボードのように書いていくことができる。これなら、メタバース内でもブレインストーミングなどを簡単に行えるだろう。
ハンドトラッキングの体験も行えた。「コントローラーを手から離してください」と言われるがまま、されるがままにコントローラーを握っていた手を開き、それをスタッフに渡すと、5本指のある手がバーチャル空間に現れる。指を曲げれば、バーチャル空間にも反映されるため、手を使ったジェスチャーでコミュニケーションを取ることができる。
Saburoさんとハイタッチをして体験は終了した。
自分の番が回ってくるまで、他の体験者の様子をモニターで見ていたのだが、やはり自分がHMDを装着してみるのとではかなり違うと再認識した。Saburoさんが、本当に身近にいるように感じられるのだ。
バーチャルとリアルが溶け合っている──それを実感することができた。
バーチャルとリアルの境界線がなくなりつつある、ということでいえば、DNP(大日本印刷)の「PARALLEL SITE空間」展示も興味深かった。
それぞれ公認を受けた渋谷区立宮下公園、秋葉原、神田明神をバーチャル空間に再現し、インカメラVFXの技術を使い、リアルな人をその空間に登場させ、バーチャル空間にいる人とコミュニケートできるようにしているのだ。
とはいえ、インカメラVFXの装置は一般人には手の届かないものであり、テレビ向け映像の作成といった用途になるだろうということだった。
DNPでは、「PARALLEL ME」の展示も行われていた。これは、アバターとしてバーチャル空間にいたとしても、自分自身を証明して、なりすましを防止するためのサービスだ。取得している資格なども、時と場合によって選択して開示できるため、もしかしたら、いつの日か、アバターで採用面接を受けられるようになるかもしれないと感じた。
REALITYでは、バーチャル空間内に掲出する広告の展示を行っていた。「VR Chat」にアクセスしたことのある人であれば、ワールドに入ったものの、自分1人だけで話し相手がいないという経験もしたことが(きっと)あるはずだ。
しかし、REALITYが提供するワールド「REALITY World」では、常に多くの人が行き交っており、掲出した広告を見てもらえる確率がぐっと高まる。広告は、ワールド内でビルなどの屋外看板のように表示される。
企業が、ショールーム的にワールドを作成することがあるが、それにはかなりコストがかかる。しかし、広告を既にあるワールドに掲出するのであれば、それほどコストはかからない。REALITYでは、抽選で50社限定になるが、1週間無料広告を掲出できる「メタバース広告無料掲載キャンペーン」を開催している。
なお、REALITYが提供しているメタバースはHMDを使わない。スマホに専用アプリをインストールし、それにより入れるのだ。ユーザーは好みのアバターを選べ、そのアバターでREALITY World内を移動したり、友だちとコミュニケーションをしたり、ライブ配信を行ったりすることができる。将来的には、ここで作成したアバターを他サービスへ持ち出しもできるようにしていきたいとのことだった。
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