これから買うなら3090 Tiよりも「GeForce RTX 4080」 そのワケを探る(3/3 ページ)

» 2022年11月15日 23時00分 公開
[迎悟ITmedia]
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GeForce RTX 4080“も”クリエイター向けアプリに強い!

 最近は、クリエイター向けのアプリでもGPUパワーを存分に使うものが多い。そこで、今回のテスト環境をそのまま使い、クリエイター向けアプリのパフォーマンスチェックもしてみよう。

Blender Benchmark

 まず、2D/3Dアニメーション製作ツール「Blender」をベースとしたベンチマークテストアプリ「Blender Benchmark」のWindows版を用いパフォーマンスの比較をしてみよう。今回は「Monster」「Junkshop」「Classroom」の3つのシナリオにおいて、1分間当たりの生成サンプル(オブジェクト)数を計測している。結果は以下の通りだ。

  • Monster
    • GeForce RTX 3090 Ti:3170.575989個
    • GeForce RTX 4080:4767.216892個
    • GeForce RTX 4090:6362.262159個
  • Junkshop
    • GeForce RTX 3090 Ti:1803.310914個
    • GeForce RTX 4080:2230.456323個
    • GeForce RTX 4090:2956.122639個
  • Classroom
    • GeForce RTX 3090 Ti:1560.694279個
    • GeForce RTX 4080:2283.432381個
    • GeForce RTX 4090:2979.535322個

 GeForce RTX 4080は、GeForce RTX 3090 Tiと比べて20〜30%ほど多くのオブジェクトを生成できる。さすがにGeForce RTX 4090にはかなわないものの、コンシューマー向けGPUとしては高水準であることには変わりない。

 個人のクリエイターでも、最近は3Dで動くアニメーションを作成したり、3Dモデリングを行ったりするケースも増えてきている。「ちょっと作成に時間が掛かるなぁ(作成が重いなぁ)」と感じているなら、(電源、マザーボードやケースの兼ね合いはさておき)GeForce RTX 4080を搭載するグラフィックスカードを用意することで快適さは増すだろう。

Blender Benchmarkの結果 Blender Benchmarkの結果

Adobe Premiere Pro(4K動画書き出し)

 続けて「Adobe Premierer Pro」を使って、4K動画のエンコードに要する時間を比較してみよう。今回は「GoPro HERO 10」を使って撮影した数本の4K動画を30分ほどにまとめて書き出すのに要した時間を比較した。結果は以下の通りだ。

  • GeForce RTX 3090 Ti:9分30秒
  • GeForce RTX 4080:7分36秒
  • GeForce RTX 4090:7分18秒

 GeForce RTX 4090にはわずかに及ばないが、GeForce RTX 3090 Tiよりは確実に高速に動画を書き出せる――それがGeForce RTX 4080の立ち位置である。

 GeForce RTX 3090 Tiと比べて30分の動画の書き出しが2分短いということは、単純計算で1時間なら4分、2時間なら8分の時短効果を得られることになる。どれくらいの頻度で動画の書き出し(エンコード)を行うかにもよるが、GeForce RTX 4080を使うことで動画編集の生産性は確実に向上する。

4K動画書き出し Premiere Proによる動画の書き出し

ハイエンド志向だとしても多くの場合は「4080」で十分

 ベンチマークテストを実施する前、筆者はGeForce RTX 4080のパフォーマンスを「GeForce RTX 3090 Tiくらいかな?」と考えていた。しかし、その予想は良い意味で裏切られた。

 GeForce RTX 4080を搭載するグラフィックスカードの税込み想定販売価格は21万9800円からとされている。現行のGeForce RTX 3090 Tiの税込み実売価格とそう変わりないことも考えると、実際の値付けや在庫次第な面はあるものの、これからGeForce RTX 3090 Tiを買うくらいなら、GeForce RTX 4080を探して買った方が幸せになれると思う。

 気になる消費電力についてだが、今回テストした構成ではアイドル時は「72W」、3DMarkのテストの中でも特に高負荷な「Time Spy Extreme」を実行した際のピーク値が「482W」だった。これなら、ハイエンドな自作PC(あるいはメーカー製ゲーミングPC)におけるグラフィックスカード単体での置き換えも“アリ”といえる。

 発熱についても、これはクーラー次第だが、今回テストしたFounders Editionであれば高負荷時にファンがごう音を出すようなことはなく、性能や消費電力の割にはおとなしく、かつ安定して動作する。

 性能はさすがに最上位のGeForce RTX 4090には及ばない。しかし、グラフィックスカードの価格や消費電力といった「バランス」を考えると、GeForce RTX 4080はかなり良い選択肢なのではないだろうか。「4090の性能は過剰」あるいは「4K解像度で大きな不満なくAAAタイトルを遊びたい」と考えている人は、ぜひGeForce RTX 4080に注目してほしい。

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