以上まとめると、Windowsに関してはスムーズに接続でき、パフォーマンスも実用レベルなのだが、Androidは対応機種の狭さが、iOSはパフォーマンスが、それぞれネックとなる。
また有線と無線、2つの接続方法によって、タッチ操作の可否、ペン入力の可否、HDCP対応の可否などが異なるだけでなく、ペンの機能ボタンや筆圧検知は有線でしか使えない制限があったり、複数の本製品に接続する場合は音声出力の制限もあったりと、多機能さが災いして分かりづらくなっていることは否めない。
とはいえ使えれば便利な機能が多いのは事実であり、会議や商談などでこれらの機能を使うのならば、事前の動作チェックは必ず行った上で、いざという時のために有線接続もできるよう準備しておくことをおすすめする。どちらの接続方法も可能なのは本製品の利点なので、それを最大限生かすべきだろう。
なおさらに高度な機能として、2台のデバイスの画面を並べて表示する機能であったり、アクセスポイントを介して最大5台の本製品に同時接続する機能も用意されていたりする。後者は個人向けではなく法人向けの機能となるが、本製品を複数台導入するのであれば、こうした機能も試してみたいところだ。
以上ざっと見てきたが、まずハードウェアについては品質も高く、トップクラスの製品と言ってよい。有線ポートのレイアウトは好みが分かれるであろうこと、さらにパススルー給電の出力が不十分なことに注意する必要はあるが、バッテリーを内蔵しながら700gを切る軽量ボディーは圧倒的だ。軽さだけを追求するのなら、前回紹介した有線モデルはさらに軽量なので、そちらを選ぶ手もある。
一方でワイヤレス接続については、まだまだ荒削りな印象を受ける。とはいえ、同様のコンセプトであるASUS JAPANの製品も、これらについては試行錯誤している様子がうかがえ、現時点で100点満点のデバイスが存在しているわけではないので、評価が難しい。有線接続並みのレスポンスを求めると物足りないが、手軽さを追求するのならば現時点で十分かもしれない。そうした割り切りは必要だと感じる。
本製品の保証期間は3年と長く、ワイヤレス接続対応のZenScreen Go MB16AWPと同じだ。実売価格は8万円台と本製品の方が高いが、現時点で商流が法人向けのみとなっており、この辺りはやむを得ないところだろう。
本製品はタッチ対応とペン対応というアドバンテージがある一方、ワイヤレス接続の実用性や設置方法の多彩さはASUS JAPAN製品に分がある。リコーにとっては初のモバイルディスプレイということで、今後の進化も期待したいところだ。
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