予算次第の面はあるが、可能ならHomePodは2台購入して「ステレオペア」で運用することをお勧めする。1台でも運用はできるし、ステレオ再生はもちろん空間オーディオ再生も問題なく行えるのだが、体験の質にかなり大きな乖離(かいり)が生じる。
ステレオペアで設置した場合も、HomePodはそれぞれが360度方向に音を放出する。そうなると「特にステレオ音声を再生すると音像が曖昧になるのでは?」という疑問も沸いてくる。事実、初代HomePodの初期ソフトウェアでは、ステレオ音声の音像が曖昧になり、「これ、本当にステレオなの?」という感覚にとらわれることもあった。
今回は現在のソフトウェアにおける初代HomePodのステレオペアは試していないものの、少なくとも新しいHomePodはステレオペアでも豊かな音場に明瞭な音像が形成される。
理想的な位置関係(スピーカー間とリスナーの間に二等辺三角形ができる位置関係)からずれて、いわゆる「オフセンター状態」で音楽を聞いてみると、さすがに音のイメージは曖昧になってしまう。しかし音の濃密感は失われない。要するに、部屋のどこにいても「それなりに良い状態」で音楽を楽しめるのだ。
スピーカーに近付くと、真横にも真後ろにも音が出ていることが分かる。これは空間オーディオの再生時も同じだ。ところが、スピーカーの正面に移動すると、ステレオイメージが再び明瞭になり、空間オーディオなら上下/前後に音が広がるようになる。音場の広さや移動感も、当然ながらステレオペアの方がはるかに良い。1台だけでは曖昧なボリューム感にとどまってしまう。
Dolby Atmosに対応するサウンドバーは意外と豊富で、安いものなら税込み2万円弱から用意されている。しかし、しっかりとした“音場”を作れるサウンドバーを買うとなると、「予算は少なくとも税込み10万円から(できれば30万円あるとベター)」という世界である。サウンドバーの世界は奥深く、音場にもこだわると想像以上に高価なのだ。
その点、新しいHomePodは1台で4万4800円、2台でも8万9600円で済む。9万円弱でしっかりとした音場を作れると考えれば、筆者としては結構安価な買い物だと思う。
加えて、大画面のTVと組み合わせるなら、Apple TV 4Kを一緒に買うとさらに幸せになれる。それでも、価格は合計で税込み10万9400円と十分に現実的である。「大画面と2台のHomePod」は、相性も抜群に良い。
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