―― 今後、VAIOはどんな企業を目指しますか。
山野 「カッコイイ」「カシコイ」「ホンモノ」という、VAIOならではの価値を製品として届けることにこだわり、それによって仕事の生産性を高め、社会課題の解決にも貢献していきます。ただし、VAIOのシェアはまだ低く、この価値をもっと多くの人たちに届けなくてはいけません。シェアナンバーワンではありませんが、キラリと光るPCを出し、多くの人から「VAIOは他社と違う製品を届けてくれる」と言われるPCメーカーになりたいですね。
―― 現時点では、どの程度まで達成されていますか。
山野 まだ3合目ぐらいですね。定番PCを投入したことで一歩進みましたが、大切なのは、定番PCを出したことではなく、定番PCに対するこれからの評価です。VAIOが投入した定番PCの良さが伝わらなくては、意味がありませんし、私たちの挑戦は失敗したことになります。
VAIOの全ての社員が一緒になって、定番PCを成功させる努力をしなくてはなりません。まだまだやることは多いですね。そして、定番PCでシェアを獲得したら、その成果を元に「VAIO SX」シリーズをより進化させ、さらに、「VAIO Z」や「VAIO P(VAIO Type P)」といった尖った製品の次の開発につなげていくことになります。
―― えっ、VAIO Pもやるんですか?
山野 はい、VAIO Pもやりたいですね。また、決めてはいませんが、PCの周辺領域という意味では、ゲーミングPCやビジネス向けハイパフォーマンスコンピューティングといった市場もターゲットになるかもしれませんし、ここではVAIOとは別のブランドという検討があるかもしれません。
さらに、ソニー時代のVAIOを知らないという若い世代の人たちがPCの購買層になってきていますから、新たな顧客層に対する訴求も重視していきます。可能性はさまざまです。
定番PCによって裾野が広がれば、高い山が作れます。今は定番PCで裾野を広げることに力を注ぎ、次にプレミアムPCで高い山を作り、そして、また裾野を広げるという作業を繰り返していきます。山登りは上を見ると、まだ先がこんなにあるのかと思い、苦しいだけです。
しかし、着実に一歩一歩登っていき、振り返ってみたらこんな高いところまで来ていた、こんないい景色が見られたという感動にこそ楽しさがあります。高みに向かって歩みを止めないことが大切です。
VAIOは本業にフォーカスしながら、成長フェーズへと踏み出しました。裾野が広く、高い山を、歩みを止めずに一歩一歩登っていきます。
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