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VAIO Pro BKはビジネスノートPCの「新しい定番」にふさわしい? 実力を徹底的にチェック!(3/3 ページ)

» 2023年05月25日 17時00分 公開
[マルオマサトITmedia]
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最新世代ならではのパフォーマンス

 ベンチマークテストの結果を見てみよう。特に言及がない限り、今回はVAIOの設定におけるCPUとファンの動作モードは「パフォーマンス優先」、Windowsの電源設定は「最適なパフォーマンス」としている。参考として、2022年にレビューした「HP Elite Dragonfly G3」(Core i7-1255U搭載)と、2018年に発売された旧世代のビジネスPC(ThinkPad T480s)のスコアも掲載している。

 なお、今回レビューしたVAIO Pro BKは試作機である。量産機とほぼ同じ仕様ではあるものの、量産機と比べた場合にスコアで若干の差が出る可能性があることをご了承いただきたい。

レビュー機 ベンチマークテストで利用した環境

 まずCPUの性能を計測する「CINEBENCH R23」では、マルチコアテストにおいてVAIO Pro BKがトップに立った。わずか1世代の差とはいえ、マルチコア(スレッド)の動作に細かな改良を行ったことが奏功しているものと思われる。総合ベンチマークテストアプリの「PCMark 10」や3Dグラフィックスのテストを行う「3DMark」の結果も、CINEBENCH R23とおおむね同じ傾向だった。

 一部のテストではElite Dragonfly G3に敗北しているものの、第8世代Coreプロセッサを備える旧世代PCに対しては“圧勝”している。最近のモバイル向けCPUは侮れない。

CINEBENCH R23 CINEBENCH R23の結果
PCMark 10 PCMark 10の結果
3DMark 3DMarkの結果
FF14ベンチマーク 「FINAL FANTASY XIV:暁月のフィナーレベンチマーク」の結果(1920×1080ピクセル/ノートPC標準/フルスクリーン設定)。Iris Xe Graphicsを搭載したこともあって良好なスコアを記録している

 PCMark 10では、バッテリー駆動時間のテストも行った。このテストでは、VAIOの設定におけるCPU/ファンの動作モードを「標準」、Windowsの電源設定を「トップクラスの電力効率」とした上で、画面輝度を50%に……しようと思ったのだがやや暗く感じたので60%に設定している。

 「Modern Office Battery Life」シナリオで駆動時間を計測した所、残量95%から2%(強制的な休止状態)まで11時間46分となった。多くのユースケースでは、これだけ使えれば十分だろう。

バッテリー持ち PCMark 10(Modern Office Battery Life)の計測結果。PC名が「VAIO F14」となっているが、今回テストしたVAIO Pro BKでの結果である(VAIO F14とVAIO Pro BKは兄弟機)

 念のため、「CrystalDiskMark 8.0.4」(ひよひよ氏・作)を使ってSSDのアクセス速度も比較してみた。

 結果を見てみると、モジュール自体の公称速度が勝るElite Dragonfly G3がトップとなった。しかし、VAIO Pro BKに搭載しているモジュールが遅いというわけではなく、比較機が搭載しているSerial ATA接続モジュールと比べれば十分に高速である。

CrystalDiskMark 8.0.4 CrystalDiskMark 8.0.4の結果。今回の評価機は普及価格帯のSSDを搭載しているため、Elite Dragonfly G3のモジュールと比べると遅く見えるが、Serial ATA接続のSSDと比べれば十分に高速である

放熱設計も優秀

 ノートPCを使っていると案外気になる動作音については、VAIOの設定で選べる3つのモード全てを試した。

 「パフォーマンス優先」にすると、アイドル時もファンの動作音が静まることがない。「とにかく全力優先!」という人以外の常用は厳しいだろう。

 「標準」なら、高負荷時もマイルドな動作音となる。「静かさ優先」にすればさらに静かになる。

動作音 モード別のシステムの動作音。暗騒音30.9dB、室温24度、本体手前5cmの距離で測定している

 PCMark 10と「FINAL FANTASY XIV:暁月のフィナーレベンチマーク(FF14ベンチマーク)」では、動作モード別のテストも実施してみた。

 結果を見ると分かるが、「パフォーマンス優先」でも「標準」でもスコア差は大きくない。基本的には、標準設定のまま使うのがよいだろう。

PCMark 10 PCMark 10をモード別に実行した結果
FF14ベンチマーク FF14ベンチマークをモード別に実行した結果

 発熱の処理も優秀だ。パフォーマンス優先だとファンをむやみに回しすぎる印象なのでサーモグラフィーは標準モードで撮影したが、ボディーに気になる発熱はなく、特に手がよく触れるパームレストの発熱はしっかり抑えられている。

 ただ、高負荷時には左側の排気口から暖かい空気が勢いよく吹き出してくる。左側にはあまり物を置かないほうがよいだろう。

FF14ベンチマーク実行時の温度 FF14ベンチマークのテスト終了直前にFLIR ONEで撮影したサーモグラフィ(室温24度)

快適に使えるスタンダードノートPC

 VAIO Pro BKは、いい意味で肩の力が抜けている製品だ。高コスト要因となる要素は適度に省かれているが、それでも第13世代Coreプロセッサの進化の恩恵で基本性能は高く、機能面でも実用十分だ。最近のトレンドであるビデオ会議向けの機能も充実しており、発熱や動作音なども含めて、使い勝手もよくまとまっている。

 スペックに現れない細かい部分まで配慮されており、ビジネスの生産性や学習効率の向上に大いに貢献できる作りであり、確かに「新しい定番」に相応しいノートPCといえる。VAIOらしさを継承した、洗練されたビジュアルも魅力の1つだろう。

 筆者の個人的な感想を述べると、ディスプレイの表示品質だけはもうちょっと頑張ってほしいと思った。他の部分がそつなくまとまっているだけに、ここだけは、どうしても気になった次第である。

 ビジネスにおけるノートPCのリプレースを検討しているならば、VAIO Pro PKは検討してみる価値がある。

 一方、コンシューマー向けモデルであるVAIO F14も、基本的な特徴はVAIO Pro BKと同様である。そうなれば、キャンパスや自宅で使うノートPCとして間違いなくコストパフォーマンスの良い選択肢となるだろう。

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