さすがに約50万円は…… 「Apple Vision Pro」の廉価版は登場するのか? Proというネーミングの意図は(2/3 ページ)

» 2023年06月06日 15時42分 公開
[山口恵祐ITmedia]

“Pro”じゃない製品が出る?

 ここで製品名に注目したい。AppleはiPhoneをはじめ上位機種に「Pro」とネーミングする傾向があるのはおなじみだ。「iPhone 14 Pro」「iPad Pro」「MacBook Pro」「Mac Pro」──いずれもハイエンドな機能を求めるユーザーやプロユースに向け、高機能モデルとして後から追加してきた。

 しかし、今回のVision Proは“Pro”というネーミングでいきなり登場した。初出の製品ならば「Apple Vision」であっても良かったはずだ。

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 これについては「米Metaの『Quest』や台湾VIVEの『XR Elite』、中国ByteDanceの『Pico』、中国XREAL(旧Nreal)といった競合製品がひしめく市場の中で優位性を確保するために、コスト度外視で圧倒的な性能や上質の体験を誇示する必要があったこと」「WWDCが開発者向けイベントであること」といった要因があると記者は考えている。

 現在のVR/ARヘッドセット市場について、調査会社のIDCによれば、2022年時点で全世界の出荷台数はMetaがトップで市場をリード、2位にはByteDanc、以降はアジアのメーカーが続いている。

 いずれも独自のアプリストアを持っていたり、PCに接続してSteamのようなVR対応プラットフォームでさまざまなコンテンツを楽しめる。この数年の蓄積もあり、ゲームやユーティリティーアプリを問わず、コンテンツはかなり充実してきた。しかもオープンな環境であるため、インディーズやアダルト向けコンテンツにも強い。

 そういったそれぞれのポジションが定まりつつある市場をひっくり返すためには、ユーザーや開発者が思わず乗り換えてしまいたくなるような特別な体験を仕掛けるしかない。

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