最近のGPUに求められるのはゲームの性能だけではない。クリエイター向けのアプリケーションを快適に動作させるのにも、高性能なGPUは求められている。
簡単ではあるが、クリエイター向けアプリケーションでのパフォーマンスのチェック幾つか行ってみよう。ここからは、過去のテストとの比較も再開する。
まず、2D/3Dアニメーション製作ツール「Blender」をベースとしたベンチマークテストアプリ「Blender Benchmark」のWindows版を用いて、パフォーマンスの比較をしてみよう。今回は「Monster」「Junkshop」「Classroom」の3つのシナリオにおいて、1分間当たりの生成サンプル(オブジェクト)数を計測した。
結果は以下の通りだ。なお、このテストのみ、最新のCore i9-13900K(Pコア8基16スレッド+Eコア16基16スレッド)でテストした「CPUだけでオブジェクトを生成した結果」も参考として記す(当然、GeForceのスコアは「GPUのみでオブジェクトを生成した結果」である)。
「GeForce RTX 4060の1割強増しがGeForce RTX 4060 Ti(8GB)」といった格好だ。ヘビーなゲームと比べると、そこまで大きなパフォーマンス差は見られない。「1割強でも大きな差だよ」という意見もあるかもしれないが、それでもCPU演算と比べたら10倍近いスコアをたたき出している。
GPUを使って少しでもパフォーマンスアップを狙いたいなら、安価なアップグレードとしてGeForce RTX 4060を換装する、というのは良案といえるのではないだろうか。
「Adobe Premierer Pro」を使って、4K動画のエンコードに要する時間を比較してみよう。「GoPro HERO 10」で撮影した数本の4K動画を30分ほどにまとめて書き出すのに要した時間をまとめた。結果は以下の通りだ(Radeon RX 7600の結果も記載する)。
内蔵エンコーダーは同じ第8世代NVENCではあるが、8秒の差が生じた。グラフィックスメモリのアクセススピードの差が影響した可能性もある。
8秒であれば「僅差」といえるかもしれないが、エンコードする動画の尺がより長くなると、差はさらに大きくなる可能性もある。ただ、1〜2時間程度の動画の書き出しであれば1〜2分程度の差に収まるはずなので、やはりほとんどの人にとっては「僅差」ということになる。
これまで試してきたGeForce RTX 40シリーズは、ゲームタイトルがDLSS 3に対応していれば、想定解像度よりも1段階上でも結構に快適に遊ぶことができた。しかし、今回試したGeForce RTX 4060はDLSS 3に対応しているゲームでも、フルHD以上の解像度でのプレイは厳しい傾向にある。同じ解像度をターゲットにしているGeForce RTX 4060 Tiと比べても、「1080pゲーミング」への特化度が高まっているといえるだろう。
ただ、見方を変えれば常にフルHDで遊ぶのであれば十分すぎる性能を備えているということでもある。目的特化型GPUだと思えば、これはこれで“アリ”だと思う。
加えて、GeForce RTX 4060は消費電力の低さも魅力である。今回検証したPCでは、アイドル時で81WとGeForce RTX 4060 Ti(8GB)と変わらなかったが、高負荷となる3DMarkの「TimeSpy Extreme」実行時のピーク消費電力は214Wと、35Wも低かった。カードサイズが小さいことも手伝って、小さなケースでPCを自作する上では有利なGPUといえる。500W程度の電源が載っているデスクトップPCで増設/換装するGPUとしても最適だ。
つまるところ、「現在のPCに大きな不満はないがもう少し快適にゲームで遊びたい」という人など、ライトゲーマーが気軽なアップグレード先として選びやすいGPUがGeForce RTX 4060である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.