日々PCを使っていると、さまざまなデータが蓄積されていく。知らず知らずのうちにPCの内蔵ストレージが圧迫された結果、データを保存できなくなったり、OSやアプリのアップデートプログラムが適用できなくなったりと、PCの動作に支障が出るレベルに達してしまう事例も見受けられる。
「たまったデータを外付けストレージ(USBメモリ、USB HDD/SSDやNAS)にデータを逃がす」という方法もある。しかし、特にノートPCを好んで使っている人は、「外部ストレージにたよらず、本体単体でスッキリと使いたい」という思いを少なからず抱えているはずだ。
そこでお勧めしたいのが、ノートPCの内蔵ストレージの換装(取り換え)である。最近のノートPCの多くは、内蔵ストレージに「M.2」規格のSSDを使っており、比較的簡単に換装できる……のだが、誰でも“初めて”の瞬間がある。
そんな人のために、WindowsノートPCに内蔵されているM.2 SSDを換装するプロセスを2回に分けて解説していく。今回(第1回)は、換装する前に検討したい事柄と、それを踏まえて準備すべき用品の確認をしていく。
ユーザー自身による内蔵M.2 SSDの換装は、メーカー/モデルメーカーによっては保証対象外の「改造行為」に該当する場合があります。「メーカー保証が無効化されるのは困る」という人は、保証規定を確認してから作業を行ってください。
また、M.2 SSDはノートPCとの「相性」で正常に動作しない場合があります。この記事は相性問題は考慮に入れていませんので、その前提で読み進めてください。
トラブルを未然に避けるために、まず自分のノートPCについて、以下の事項を“下調べ”しよう。
ストレージのスペック、接続(通信)規格や寸法が分からない場合は、以下の手順で調べてみよう。
換装の可否や、可能な場合の換装方法については、メーカーやモデルによって情報公開の粒度が異なる。レノボ・ジャパンの「ThinkPad」を例に取ると、M.2 SSDがCRU(顧客による交換可能部品)に指定されているモデルであれば、一般向けの「ユーザー・ガイド」にも詳しい手順が記載されている。
また、海外メーカーのノートPCでは、法人向けモデルを中心に「保守(サービス)マニュアル」を公開していることもある。技術者向けの資料なので、ユーザーが手を出してはいけない領域まで詳しく説明される傾向にあるが、SSDの換装ができるかどうかの判断材料にはなるだろう。
一方で、国内メーカーのノートPCは、ユーザーによるM.2 SSDの換装を認めていないモデルがほとんどで、換装に必要な情報が公開されていないことも多い。とはいえ、最近のモデルは裏ぶたを開けるとすぐにM.2 SSDが見える(分かる)構造になっていることが多いので、換装のハードルはそれほど高くない。
ただ、換装に関する情報が公開されているかどうかに関わらず、ユーザーによるM.2 SSDの換装は、メーカー保証を無効にすることがある。保証期間中のノートPCで作業をする場合は、必ず保証規定を再確認しよう。
SSDを換装するに当たって、古いSSDからのデータ移行をどうするかという点は悩ましい問題だ。
世の中には、古いSSDのデータを“丸ごと”新しいSSDに移行できる「ディスククローンアプリ」もある。これを使うと、Windowsの再インストールが不要で、SSDを入れ替えれば移行が完了する。ある意味で手軽なのだが、以下の課題もある。
ウエスタン・デジタル(WD)のパッケージ版M.2 SSDには、Acronis(アクロニス)製のディスククローンアプリ「Acronis True Image WD Edition」のライセンスが標準で付帯する。このアプリはSSDの移行に必要な機能はおおむね網羅しているが、有償版の「Acronis True Image」と比べると一部の機能が省かれている(参考リンク)筆者個人としては、ディスククローンアプリを使うよりも、必要なデータを外部ストレージにバックアップした後にSSDを換装して、Windowsをクリーンインストール(再インストール)する方法をお勧めしたい。これなら、SSDの換装と同時にWindows全体のリフレッシュも図れる。
この方法を取る場合、メーカーの指示する方法で作成した「リカバリーメディア」か、Windowsの「インストールメディア」を用意する必要がある。作成方法は別の記事を参照してほしい。
最近はWindowsの「回復ドライブ」アプリでリカバリーメディアを作成可能なメーカーが増えている。この場合、作成時点で最新のWindows Updateが適用された状態で作れるのが最大のメリットだ。なお、リカバリーメディアとして使う場合は「システム ファイルを回復ドライブにバックアップします。」のチェックは必須である
富士通クライアントコンピューティング(FCCL)のノートPCでは、リカバリメディア(DVDまたはUSBメモリ)を9900円で提供するサービスも提供している。回復ドライブアプリでうまくリカバリーメディアを作れない場合、あるいはWindows Updateが適用されていない“純粋な”出荷状態の再現を行いたい場合に使うようにしたい次は、SSDの換装に当たって必要な“機材”の下調べを行おう。
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