さて、製品構成と価格の話もしておきましょう。まずはこれを見てください。
上のモデル数を見ると、ウッ……となりますね。
サイズが13.3型(タッチ対応)と11.6型(タッチ非対応)に分かれていることと、付属品の付け方でパッケージが分かれてしまっているのが原因です。
これらがまた、家電量販店、AmazonなどECサイトのワコム直営店、ワコムストアのそれぞれで、どのパッケージが買えるかが分かれています。いろいろ事情はあるとは思いますが、「エントリー」は入り口の意味でもあります。これくらい入り口が混乱しているのはあまりうれしくないことです。
今回用意した環境はUSB Type-C接続対応ですが、もし自分で買うなら3in1ケーブルモデルを選ぶと思います。古いPCやGPUを搭載したPCなど、そのままではUSB Type-Cで映像出力できないモデルで利用できる機会を残すためです。ゲーム用のデスクトップPCを持っていたり、いずれ欲しいと考えていたりする人は検討するときに注意するとよいでしょう。
ディスプレイもチェックしておきましょう。本機は旧型の「空気層あり、アンチグレア・フィルム」から一気に進化し、「ダイレクトボンディング、防指紋処理つきのアンチグレア・ガラス」になりました。
発色はデフォルトではAdobe RGBとP3系のおいしいところ取りをしたような、sRGB目標ではない、広色域ディスプレイの類いです。
PCに接続してデフォルトのままだと「自分のことをsRGBだと思い込んでいる、ちょっとケバいディスプレイ」になりますが、sRGBモードを選んで普通っぽくすることもできます。
そこでふと、思うわけです。
「13.3型/フルHD/広色域/ダイレクトボンディング/アンチグレア・ガラス/タッチ対応/USB Type-Cケーブル1本接続……これ、Cintiq Pro 13の仕様では?」と。
そういえばCintiq Pro 13の実勢価格も、既に生産終了とされているので不安定とはいえ、最近は10万円前後でした。
ペンは格下なのでCintiq Proより劣っています。とはいえ、これまでは上位機のものだったスペックの多くが、Cintiqの名もつかないエントリー機に採用されてしまいました。
確かに、さして古くないはずの旧型は、仕様面では今買うにはちょっと古臭くてためらいたくなる面があります。旧型は「ワコムの液タブをできるだけ安くするには」を第一に考えて作られたモデルに見えましたし、そう作ってしまうと競争力を失うのが早い、という反省があったのかもしれませんね。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.