そろそろペンを見ていきましょう。本機は多彩なペンの選択肢もウリですが、ここでは標準ペンを詳しくチェックします。
本機のペンは基本的には旧モデルと似ていますが、サイドボタンが1つから2つに増えていて、右クリック以外の機能を割り当てて利用しやすいです。また、上下が分かれる作りになっていて、好きな色のパーツを購入して組み合わせることができます。
傾き検知に対応したのも、旧型より良くなった点です(自分はペンの傾きは製作に使わないので、申し訳ないですが「動作する」以上のことは分かりません)。
では性能について……まず問題なかった点から。ジッターは問題なし、遅延は十分速く、検知可能な最大荷重はおそらく500g以上と十分以上に大きいです。そしてやや問題というかトリッキーなのが、ごく軽い筆圧への反応です。
前モデルにも、オンになる筆圧と実際に筆圧値が出始める筆圧が離れている問題がありました。本機では筆圧値が出始めるのが以前より早くなっており、作業中のほとんどのシーンで気にならないぐらいになっていると思います。後で実際にチェックしましょう。
今回は、いつもの魔女さんでテストしています。ここまでたどり着くのに長引いてしまったので、問題なかった部分は簡単に行きましょう。
ラフと線画は十分に描きやすく、フルHDの解像度のおかげか、遅延自体が少ないおかげなのか、「Cintiq Pro 16」で慣れている感覚よりもサクサク感があって快適でした。この工程ではごく軽い筆圧は使わないため、反応に違和感はありません。強い筆圧でも頭打ちにならないので、力の加減でラフ線の重みをダイナミックに変えながら検討する描き方も快適にできました。
少し気になったのは、ペン先や手袋の滑りやすさです。防指紋加工のせいか、ペン先がずるっと滑りやすく、角度を高めに設置すると画面に置いた手を安定させるのに注意が必要になります。慣れと芯の選択、手袋をやめるなどの工夫で何とかなりそうではあります。
また、発熱もおおむね問題ありませんでした。室温29度の暑い部屋で使用しましたが、デフォルト輝度での発熱は画面左上が生暖かいぐらいです。ただし輝度を最大まで上げると、全体的に快適とは言いづらく、左上は長く触っていたくない温度になりました。旧モデルより最大輝度がかなり明るいので実用性は上がっているとはいえ、暑い日に高輝度で使いたいなら、何らかの対策が必要になるでしょう。
さて、心配だった、軽い筆圧を多用する彩色工程です。実際には、意識して非常に軽い筆圧を使わない限りは唐突感が気になることはなく、薄い色から入るグラデーションを作るのもだいたい意図通りにでき、問題なく作業できました。
個人的には、10gを越えて20gぐらいまでで急激に唐突感が顕在化していく印象があり、13gならまあ……という気もします。個人差もあると思うので、気になる人は店頭などで試用しておくとよいでしょう。
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