PanaCast 50そのものも、発売から現在までファームウェアアップデートにより、バーチャルディレクター、ダイナミックコンポジションなどさまざまな機能が追加されてきたが、今回発表されたPanaCast 50 Video Bar Systemは、全く別のハードウェアだ。
というのも、導入やアップデートを容易にするAndroid OSを本体に組み込み、さらに将来の拡張性を担保する多様なインタフェースを装備したからだ。
搭載しているインタフェースは、4K(3840×2160ピクセル)出力可能なHDMI端子×2、入力用HDMI端子、RJ-45の有線LAN端子、USB Type-A端子×2、BYOD用USB Type-C端子、3.5mmイヤフォン端子だ。
この新しくなったPanaCast 50に、タッチスクリーンコントローラー「PanaCast Control」(以下、コントローラー)をセットしたものがPanaCast 50 Video Bar Systemである。とはいえ、前述の理由から、手持ちのPanaCast 50をシステムとしてセットアップすることはできないので注意したい。
コントローラーには、パッシブ赤外線と人体感知センサー、超音波エミッター、環境型センサーを備える。1つ目のセンサーは、会議室に誰かが入室しただけで画面をオンにし、システムを起動させるため、電源をオンにしたり、画面が表示されるのを待ったりするようなタイムロスなく会議を始めるのに役立つ。
超音波エミッターは「Zoom Direct Share」をサポートしており、参加者が会議室に持ち込んだ端末の画面共有をワイヤレスで行えるようにする。環境型センサーは、温度/湿度/二酸化炭素を検知し、Zoom Roomsのダッシュボードで環境データをモニタリングできるようにする。会議室内を快適に、またクリーンな状態に保つのに役立つ。
PanaCast 50 Video Bar Systemのコントローラーから伸びるケーブルは、PoE(Power over Ethernet)ケーブル1本だ。これだけで「複数のケーブルが乱雑で見苦しい」という会議室あるあるの問題が解消され、かなり見た目がスマートになる。
PanaCast 50本体とコントローラーの電源を入れると、同じネットワーク内にあるデバイス同士を探し、自動的にペアリングする。コントローラーで言語選択をした直後、ZoomまたはTeamsで会議を始めるボタンが表示されるので、どちらかを選んで、アカウントにログインすればすぐに会議を始められる。
デモンストレーションでは、電源を完全に落として初期設定から行っていたが、設定済みであれば、会議室に人が入るだけでシステムが立ち上がるので、実際に行う操作はどの会議プラットフォームにするかを選び、ログインするだけだ。
オンライン会議システムに接続するのに手間取り、時間通りに始まらないといった悩みを解消できる。また、そもそもビデオバーも込みのシステムでもあるため、ときおり生じる音が聞こえない、拾えないといった問題も解決する。
Android Open Source Project(AOSP)上に構築されたMicrosoftの新しいプラットフォーム、「マイクロソフト デバイス エコシステム プラットフォーム」を採用したことも特徴的だ。これにより、Microsoftのセキュリティや信頼性、展開の容易さに加え、Androidが持つ多様なハードウェアやソフトウェアのサポート力により、高い拡張性やカスタマイズ性を備えたデバイスになった。また、デバイス管理ツール「Microsoft Intune」への登録も簡単だ。
高いセキュリティ性能も備えており、改ざんや乗っ取りも防止する。搭載するQualcomm QCS8250 SoC for IoTでマイクロソフト デバイス エコシステム プラットフォームにアップデートがあった際も、対応可能な将来性も担保する。
発表会に登壇したGNオーディオジャパン エンタープライズ営業部 パートナーセールスビデオセールスマネージャー 橋本史朗氏は、「PanaCast 50がそうだったように、PanaCast 50 Video Bar Systemも、今後、ファームウェアアップデートで新機能を追加する。さらに多彩なインタフェースを備えたことで、カメラを追加するなどの拡張性にも対応している。ぜひとも長く使ってもらいたい」と述べた。
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