8月下旬、Intelは半導体関連を中心とする世界中のメディアをマレーシアに集め、同社のCPUの製造拠点である「ペナンキャンパス」と「クリムキャンパス」を公開するイベント「Intel Tech Tour.MY」を開催した。
この記事では、CPUの量産に欠かせない、両キャンパスにおける“支援技術”に目を向けようと思う。本記事をより深く理解するには、以前に掲載したCPUの“作られ方”の記事を先に読むことをお勧めする。
なお、本記事についても工場内部の撮影は原則禁止だったため、特記のない写真と動画は、全てIntelが提供したものを利用している。
ペナンキャンパスには「Intel Maylasia Design and Development Lab(通称:MDC MEGA LAB)」が設置されている。ここでは、量産前/開発中のCPUの動作検証と、量産を進めるための基礎技術開発などを担っており、その役割から通常は社外に公開されることはあり得ない。しかし、今回のツアーでは、幸運にもこのセクションも公開され、見学することができた。
上の写真にもある通り、今回はこのMDC MEGA LABのうち、6つのセクションを見学する機会を得た。写真と動画を使って、その内容をじっくりと紹介していく。実際の見学順路とは少し異なるが、分かりやすくするためにスライドの左上から右下に向かって順に見ていこう。
「E-Core and IP Validation」は、第12世代Coreプロセッサ(開発コード名:Alder Lake)から実装されるようになった「高効率コア(Eコア)」の検証を主に行うセクションとなる。
ご存じの通り、第12世代以降のCoreプロセッサでは、シングルコアの処理性能を重視する「パフォーマンスコア(Pコア)」と、バックグラウンド処理や各種入出力(I/O)処理に必要十分な性能を持つ、低消費電力重視の「高効率コア(Eコア)」を混在させるアーキテクチャを採用している。
見学時は、このコーナーでは12月に正式発表される予定の「Core Ultraプロセッサ」(開発コード名:Meteor Lake)のEコアの負荷試験を行うテスト機材が公開されていた。
「Design Test Collaterals for Manufacturing」セクションは、CPU製品の量産ラインに組み込まれるテスト機材の開発を担っている。ここで開発された機材や技術は、前編で紹介した量産ラインに組み込まれていくという。
「Post Silicon Validation」は、CPUの試作品や量産テスト品が完成した際に行われるテスト工程だ。テストの内容は、前編で出てきた「PPV(Platform Performance Validation)」に近く、実動OS上で実際の周辺機器たちと組み合わせてテストが行われる。違いとしては、工程が完全に自動化されていないことで、人(作業員)の介入が多い。
ここで得られた知見は、量産ラインにおけるPPVに反映されるケースも多いと思われる。
各種実験工程は、まだまだ続く。
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