オーストラリアのシドニーで10月22日(現地時間)まで開催された「SXSW Sydney 2023」は、例年3月に米テキサス州オースティンで開催される「SXSW(South by South West:サウスバイサウスウエスト)」としては初めての“スピンオフ”かつ“海外開催”のイベントだった。
SXSWのエッセンスを受け継いで、SXSW Sydneyも音楽や動画などのコンテンツから、スタートアップまで幅広くカバーする“お祭り”のような複合イベントとして開催された。この記事では、その独特の雰囲気をお伝えしたい。
例年3月に開催される“本家”のSXSWは元々、音楽関係の祭典として始まった。経緯が経緯だけに、いわゆる「コンベンション(展示会)」というよりは、お祭り的な要素を重視したイベントになっている。
例えばSXSWの展示会場(オースティン・コンベンションセンター)では、会場にチラシを“貼り放題”となっており、多くのイベント参加者が壁や柱などにチラシを貼っていく。率直にいってカオスな状況なのだが、それが逆にSXSWの“カラー”となっている。よりビジネスに近く、製品をリセラー(量販店)などに本気で売り込むことが主目的である「CES」のような伝統的な展示会とは異なる雰囲気であることには間違いない。
そのため、企業の側もかなり緩く参加する傾向にあり、「PoC(Proof of Concept:実際に作れるのかを確認する目的の試作)って何ですか?」というノリでアイディア“だけ”で勝負するような展示もあれば、「明日からでも製品化できそうですね!」という感じで“かなり”作り込まれた展示もある。この両極端さも含めて、緩やかな感じが魅力といえる。
今回、初めて米国外で開催されたSXSW Sydneyは、こうした本家SXSWの特徴を受け継ぎつつも、より洗練されたイベントとなった。
とはいえ、“お祭り”的な要素はしっかりと受け継いでいる。会場に入ってすぐの場所にあるライブステージでは、何らかのバンドが常に演奏を行っていて、それをみんなが座りながらなんとなく眺めている――まさしく「音楽フェス」の様相だ。
若い人がライブを行う横を、展示会に向かうためにビジネスパーソンがすりぬけていくという光景も、本家さながらである。
続けて「カンファレンス」イベントとしてのSXSW Sydney 2023の様子を見てみよう。
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