今後のMacはどうなる!? 新型「iMac」に見るGPUを強化したM3チップの実力(2/4 ページ)

» 2023年11月07日 12時00分 公開
[本田雅一ITmedia]

3nmプロセスがもたらす新しい性能

 先代のiMacが搭載しているM1チップは、初めてのMac向けApple Silicon(Apple自社設計のSoC)だったこともあり、圧倒的な省電力性能や消費電力当たりのパフォーマンス(いわゆる「ワッパ」)は確保されていたものの、動画のデコード/エンコードを担う「Media Engine」が非搭載であることなど、機能面では発展途上という面もあった。

 新しいiMacが搭載しているM3チップには、改良版のMedia Engineが搭載されている。アップデートの要素は2つあり、1つは「AV1コーデック」のデコードに対応したことだ。これはiPhone 15 Pro/Pro Maxに搭載されている「A17 Proチップ」と共通する。

 もう1つは、動作クロックの向上だ。CPUコア/GPUコアなどと同様に、具体的な最高クロックは公表されていないものの、実際に使ってみると確実に高速化されている。

Media Engine 新しいiMacには、先代にはなかったMedia Engineが搭載されている。しかも、AV1コーデックのハードウェアデコードにも対応した最新版だ

 もちろん、M3チップの高性能化はCPUコアにも及んでおり、高性能コア(Pコア)はM2チップ世代に比べ15%、高効率コア(Eコア)は30%、それぞれ性能が向上しているという。

 ベンチマークテストアプリの表記を信じると、CPUコアの最大クロックはM2チップがおよそ3.5GHz、M3チップが4GHzちょっとなので、ピーククロックは約15%向上していることになる。マルチコアで動作する場合は、回路の発熱による制限があるため、マルチコアでの実性能はこの比率を超えるはずだ。

 これらのことから推測できるのは、Pコアはアーキテクチャ上において大きな性能向上は図られておらず、純粋に最大クロックの向上によるパフォーマンスアップがメインと思われる。

 一方で、Eコアは最大クロックの向上にプラスして処理効率の向上も行われているようだ。Appleが「電力当たりの性能が最大30%も高まった」としていることからも、設計の刷新はEコアをメインに行ったのだろう。

CPUコア M3チップのCPUコアは、Pコア4基+Eコア4基の計8コア構成となる。性能改善の程度を見る限り、改良のメインはEコアといえるだろう

 実際に「Geekbench 6」でCPUベンチマークテストを行ってみると、マルチコアのスコアは、M1 Proチップを超えてM2 Proチップに迫っている。一方で、シングルコアのスコアは稼働クロックの向上プラスα程度の結果となっている。

 もっとも、M1チップとM2チップは共に、CPU性能に関しては全く不満のないレベルだった。なので、ピーク性能の向上が大きな価値があるかと問われれば、ほとんど体感することはないだろう。

 しかしEコアの性能向上は、より高い省電力性が求められるノートブック製品ではより大きな意味を持つ。M3チップ搭載のMacBook Pro 14インチモデルはもちろん、今後期待されるMacBook Airの次世代モデルなどでは競合に対する大きなアドバンテージとなるだろう。

CPUベンチ Geekbench 6のCPUベンチマークの結果(左がM2チップ搭載15インチMacBook Air、右がM3チップ搭載iMac)

 そして今回の目玉といえるのが、GPUコアのアップデートだ。

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