今後のMacはどうなる!? 新型「iMac」に見るGPUを強化したM3チップの実力(4/4 ページ)

» 2023年11月07日 12時00分 公開
[本田雅一ITmedia]
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M1 Pro/M2 Proクラスで期待される役割も果たせるM3チップ

 GPUを一般的な演算で使うケースでは、Metalや「OpenCL」を通した演算処理のスループット(実効速度)が重要になってくる。推論処理の演算の一部は「Neural Engine」へ逃がせるとはいえ、GPU“単体”の演算テストは、GPUコアのアーキテクチャ変化を推察する手助けにはなる。

 今回、Geekbench 6において、GPUの各種演算処理におけるスループットを計測する「Compute」テストを実行してみると、先のグラフィックステストとは打って変わって、M2チップとの比較でわずか3.5%しかスコアが向上しなかった

 このことは悪いニュースなのかといえば、そう思わない。M3チップは、MacBook Airのようなファンレスのシステムでの利用も想定した、電力効率重視のチップである。演算スループットの向上が小幅なのに、前述したようなグラフィックス処理のスループットが大幅に向上したのは、まさにハードウェアベースのアクセラレーターと、動的なメモリ割り振り機能の恩恵だ。GPUアーキテクチャの変更が効いているのだろう。

 より高い効率で処理しているからこそ、こうした一見して矛盾する結果が出ている――そういうことだ。Media Engineは「動画回りの処理効率改善」で搭載したと合わせて考えれば、このようなアプローチは“賢い”。

Compute Geekbench 6でComputeテストを実行すると、M2チップ搭載15インチMacBook Air(左)とM3チップ搭載iMac(右)とのスコア差はあまりない

 今回はコンシューマー機のiMacということで深掘りはしていないが、Maxonの「Cinebench 2024」のGPUレンダリングテストを行うと、M2チップの2倍以上に伸びていた。これはまさにメッシュシェーディングとレイトレーシングのハードウェアアクセラレーターが搭載された成果だ。

 同じアーキテクチャのGPUコアをより多く備えるM3 ProチップやM3 Maxチップでは、さらに高いパフォーマンスを期待できる。

GPUテスト Cinebench 2024の結果。GPUレンダリングテストでは、M2チップ搭載15インチMacBook Air(左)とM3チップ搭載iMac(右)のスコア差は歴然としている

 M3チップのCPUパフォーマンスは、ピーク性能でM2 Proチップと同等に達している。Eコアのパフォーマンスと省電力性両面での改良により、M1チップと同等の処理能力を半分の消費電力で実行できる。エントリークラスからミドルクラスのデスクトップ機はもちろん、ノート型であれば高性能モデルまでを、その省電力性と共にカバーする。恐らく、Appleはしばらくの間、M2チップとM3チップを併存させるのではないだろうか。

 これだけ高性能ならば、Thuderbolt 4のチャネル数が2倍、高精細の外部ディスプレイを2枚使いたいといったニーズも出てくるだろう。しかし、そうした使い方にはProチップがある。「どうしてもパワフルな一体型がいい」というニーズが高まれば、もしかするとProチップ(あるいはMaxチップ)搭載のiMacが復活する未来もあるかもしれない。

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