Appleのi新しい「Mac」は、基本設計こそ先代(M1チップ搭載)モデルと同じだが、性能はまさに“デスクトップ機”として十分なものを備えている。とりわけ、GPU性能の向上には目を見張るものがある。M2チップをスキップしてM3チップが搭載されたことで、Intelプロセッサ搭載iMacからの買い替えが進むだろう。
……と、先に結論めいたことを述べてしまったが、有意に向上したCPU性能、高い電力効率に加え、大幅なGPU性能(正確には機能)の改善は、期待を裏切らないものだった。発売に先駆けて、その一端に触れてみよう。
過去のラインアップを前提に考えると、新たに発表されたiMacに「27インチモデルが用意されるのではないか?」という淡い期待を持っている人もいるかもしれない。
27インチiMacは、一体型ならではの“Appleテクノロジー”に包まれつつ、単体のディスプレイのような見た目に5Kディスプレイ、それに高性能なCPUと独立GPUを備えることで、十分なパフォーマンスを得られることが特徴だった。しかし、M1チップを搭載したiMac(24インチ)では、そのニーズは満たしきれない。
しかし、M1 Pro/M1 Maxチップが登場したタイミングで新しい「27インチiMac」は追加されなかった。(Mac Studio登場時にも指摘したのだが)27インチiMacにパフォーマンスを求めるユーザーのニーズは、「Mac Studio」(またはM2 Proチップ搭載の「Mac mini」)に「Studio Display」と「Touch ID搭載Magic Keyboard」を組み合わせればある程度満たせるからだ。
しかし、それでも諦めきれずに27インチiMacを使い続けてきたユーザーは多い。ここまで来たら、先述の組み合わせか、今回登場するM3チップ搭載のiMacを選ぶのか、という分岐がある。
M3チップ搭載のiMacは、画面サイズこそ24型と小さくなる。しかし解像度は4.5K(4480×2520ピクセル)と十分にあり、画素密度は218ppiと「Retinaディスプレイ」としての品位も保っている。輝度は最大500ニトだが、屋内で使うデスクトップ機で、この明るさに不満を持つことはないだろう。
色域はsRGBよりも広い「DCI-P3」に準拠してお、、色再現性の的確さも他のApple製品譲りといえる。周囲の照明を読み取って色温度を適切に調整する「True Tone」も備える。
実際にディスプレイを見てみると、やや黒浮きが目立つため最暗部の色再現やトーンの適格性は求められないが、よほど暗いトーンの映画や写真の画質を求めない限りは問題ない。
新しいiMacに不満を強いて挙げるとしたら、付属のキーボード、マウス、トラックパッドが「Lightning端子」で充電する仕様であることくらいだ。M3チップの性能に関しては後述するが、27インチiMacのCore i9モデルを使っていたとしても、M3チップを備える新型に乗り換えるメリットは確実にある。
もし画面サイズに妥協できないならMac Studio/Mac miniと27型のStudio Displayの組み合わせに乗り換える他ないが、大多数のユーザーは新しいiMacに満足すると思う。
M3 ProチップやM3 Maxチップの存在があって目立たないかもしれないが、M3チップの性能は期待以上に優れている。
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