では、動作速度やレスポンスについて見ていこう。
最初にチェックするのは、テキストを入力するにあたって、その入力速度に画面がきちんとついてくるか否かだ。PC側に十分なパフォーマンスがあっても、E Ink電子ペーパーの表示が追いつかないことも考えられるので、これは検証が必要だ。
実際に試した様子は以下の動画をご覧いただきたいが、テキスト入力には十分な応答性がある。遅延が全くないわけではないが、入力をミスしてBackSpaceキーを連打しているのに画面ではまだテキストが入力され続けていたり、漢字変換の候補を選択するのにキー操作と表示内容にズレがあったりといった、利用そのものを妨げるような致命的な遅れとは無縁だ。
なお、テキスト入力時に前述のユーティリティーで自動リフレッシュをオンにしていると、肝心なところで画面が点滅するような挙動になって目障りなので、自動ではなく手動でリフレッシュを行った方がよい。またエディタおよびデスクトップの背景は、なるべく白にしておいた方が快適な入力が行える。
もう1つのチェックポイントは、スクロールの実用性だ。ブラウザなどでページを上下にスクロールした際に、動作がスムーズかどうかがまず1つだ。同様に、スクロールを停止した場合に表示の乱れが最小限に抑えられているかもポイントとなる。動きのスピーディーさは確かに重要だが、画面を停止させた時に残像だらけで読めなければ意味がない。
こちらについても、多少カクついた動きにはなるが、ホイール操作やPageUp/Downの動きにきちんと追従してくる。表示内容もきちんと(もちろん表示モードなどにもよるが)読み取ることが可能で、実用性は非常に高い。
なお、こちらについては前述のテキスト入力と異なり、自動リフレッシュはオンにしておいた方が快適だ。
動画の再生については、表示が追従するか否か以前に、モノクロでしか表示できないことからして、わざわざ本製品で表示するメリットはない。ビデオモードを使えばある程度は対応できるが、本製品でそこまで追求するのは、利用目的からしてややズレている気がしてならない。PCにつながっているディスプレイが本製品のみという状況は少々考えにくく、動画は別のカラーディスプレイに任せるべきだろう。
以上のように、E Ink電子ペーパーディスプレイに求められる機能は一通りそろっている他、曲面ディスプレイを採用していたり、さらにはUSB Type-Cによる接続にも対応したりするなど、最新のフォームファクターが盛り込まれている。長く使える製品であることは間違いないだろう。
なお本製品はデスクトップ向けということで、メインのディスプレイとして使えるかは気になるところだが、これはさすがに難しいと言わざるを得ない。
というのも、本製品は内容に合わせて表示モードを切り替える必要があるため、オフィス文章を表示していたかと思えば、ブラウザで縦スクロールを頻繁に行ったり、写真を閲覧したりといった、全く違う特性を持つ内容を切り替えながら表示するのは、とにかく手間がかかって仕方がない。1つの画面に複数のウィンドウがあるとなればなおさらだ。
そのため、こういったさまざまな内容を表示するのは、プライマリーに設定した液晶や有機ELのディスプレイに任せ、本製品はあくまでセカンダリー以降の増設ディスプレイとして、テキストを執筆するための専用画面にしたり、オフィス文書の表示専用にしたりするといった具合に、表示内容をなるべく固定して使うのが、このE Ink電子ペーパーディスプレイの特性に合わせた使い方ということになる。
この点さえ間違えなければ、30万円を超える実売価格(直販のSKTNETSHOP価格で税込み31万8000円/フロントライトなしは29万8000円、平面モデルはそれぞれ2万円オフ、米国の直販サイトでは1698〜1948ドル)についても、長期的には十分に元を取ることができるはずだ。今回はノートPCと組み合わせているが、デスクトップPCでの利用も含めて、目の疲れにくさなどを気にする人に、お勧めしたい製品といえよう。
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