ソニー、川崎重工、ユーハイム、パイオニア──各社が訪れる、MicrosoftのAI開発拠点が目指す道 実際に足を運んで実態を見てきた大人の社会科見学(2/3 ページ)

» 2023年12月20日 18時22分 公開
[笠原一輝ITmedia]

スプリントスタイルと短期決戦で運営されているパートナーとの共創

 Microsoftの平井氏によれば、こうした研究所での共創に関してMicrosoftが「スプリントスタイル」と呼んでいる共創の形を取っているという。

 スプリントスタイルというのは、マラソン(長距離走)ではなくスプリント(短距離走)で開発を行うという意味で、実際に顧客企業が研究所に来てもらって開発するのは原則的に5日間と決めて、その間に課題を解決し、ある程度のPoC(Proof of Concept)を作っていくスタイルで行っているという。

photo スプリントスタイルとは、「探索する」「実証する(PoC)」「製作する」を短距離走のように行っていくこと
photo 全体で4〜6週間の日程で完了するという
photo 申込みから実行までの手順 その1
photo 申込みから実行までの手順 その2
photo 申込みから実行までの手順 その3

 このため、同研究所のWebサイトから申し込みがあると、まず研究所側で書類審査を行い。承認してからプロジェクトが走りだすという。この時にポイントになるのは、既にある程度きっちりやることが決まっていて、技術的な課題が明確になっていることが前提だという。

 その後、NDA(Non-Disclosure Agreement、秘密保持契約)へのサインなどがあり、研究所側とビデオ会議で今後の方針を明確にしていくと平井氏は説明した。

 平井氏によれば、このプロセスが非常に重要で、実際に来てもらってやる5日間はすぐに終わってしまうので、このビデオ会議の間にそれを明確にしておくことが成功への鍵になるということだった。

 そして、契約締結後に研究所で5日間のスプリントを行う。基本的には関係者全員に来てほしいということをお願いしているそうだが、コロナ禍のリモートワークが普及している中で、実際にコードを書くような開発者の人はリモートワークであることが多い。その場合はパートナーの選択に任せているそうだが、承認権を持っている人にはできるだけ「神戸に来てほしい」とお願いしているそうだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー