3万円台から買えるデスクトップAPU「Ryzen 8000G」の実力を試す 強い内蔵GPUは明確なメリットだ先行レビュー(5/5 ページ)

» 2024年01月29日 23時00分 公開
[迎悟ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4|5       

4K動画は快適に書き出せる?

 最後に、Ryzen 8000Gシリーズのゲーム以外のパフォーマンスをチェックすべく、4K動画の書き出し時間の計測を行った。

 今回は「Adobe Premiere Pro」を使って、GoPro HERO 10で使って撮影した数本の4K動画を、30分ほどの4K動画としてまとめて書き出すのに要した時間を比較する。時間の都合で、今回はRyzen 5 8600Gを除く3つのCPU(APU)でテストを行っている。結果は以下の通りだ。

  • Ryzen 7 8700G:7分31秒
  • Ryzen 5 5600G:14分30秒
  • Core i9-13900K:9分24秒

 最速はRyzen 7 8700Gだった。CPUコア以上に、GPUコアの優秀さが際だった結果といえるだろう。過去に本誌で行った多くのGPUを使った書き出しテストの結果に近い。

 実際の動画編集作業ではCPUのパワーやメモリの搭載量など、快適に動作させるのに求められる要素も多い。そのため「Ryzen 7 8700Gは外部GPUなしでも快適に動画編集ができる」というわけではないのだが、PCにかける最初のコストを抑えたい場合には有力な選択肢になるだろう。

Adobe Premiere Pro Adobe Premiere Proの書き出し時間

コンパクトでパワフルなデスクトップPCの組み立てに最適!

 Ryzen 8000Gシリーズは、「APUって非力なんでしょ?」という今までのイメージを良い意味で打ち壊してくれる。今後Socket AM5ベースのコンパクトなベアボーンキットが登場すれば、容易に「コンパクトかつパワフルなPC」を実現してくれるだろう。どうしてもグラフィックスカードが必要というのでなければ、これほど心強い選択肢はない。消費電力も、今回のテスト構成ではアイドル時が81W、ピーク時(3DMark Time Spy実行時)でも116〜118Wなので、省エネ効果も高い。

 もちろん、本APUは「自作PCを作りたいけど、イニシャルコストを下げたい。でも、将来的な拡張性はある程度残したい」という選択肢にも適する。ただし、Ryzen 7000シリーズと比べるとCPU直結のPCI Expressバスの仕様が以下の通り異なるので注意しよう。

  • Ryzen 7000シリーズ
    • バスの規格:PCI Express 5.0
    • レーン数:最大28(うち4レーンはチップセットとの通信用)
  • Ryzen 8000Gシリーズ
    • バスの規格:PCI Express 4.0
    • レーン数:最大20(うち4レーンはチップセットとの通信用)

 内蔵GPUに力を注いだゆえの“トレードオフ”だが、気を付けたい。

 とはいえ、本APUは外部GPU抜きでフルHD解像度のゲームをある程度楽しめるという、デスクトップ向けCPUでは貴重なメリットを備えている。軽量なタイトルでも重量級のタイトルでも「とりあえずPCでゲームができればいい」という、PCゲーマーの入口として十分に満足できる内容といえるだろう。

前のページへ 1|2|3|4|5       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年05月09日 更新
最新トピックスPR

過去記事カレンダー