AMDが1月9日(米国太平洋時間)に発表したデスクトップ向けの新型APU「Ryzen 8000Gシリーズ」が、北米において1月31日に発売される。日本でも2月2日(金)午前11時から販売が解禁される予定で、パッケージ版(箱入りの単体販売)の想定販売価格(税込み)は以下の通りとなる。
今回、AMDからシリーズの上位モデルでNPU「Ryzen AI」を内蔵する「Ryzen 5 8600G」と「Ryzen 7 8700G」をレビューするためのキットをお借りすることができた。これを使って、Ryzen 8000Gシリーズーの“実像”に迫る。
Ryzen 8000Gシリーズは、2022年に登場した「Ryzen 7000シリーズ」と同じ「Socket AM5」プラットフォーム向けのAPU(GPU統合型CPU)だ。Ryzen 7000シリーズは型番に「F」の付くモデル以外にZen 2アーキテクチャのGPUを統合していたが、Ryzen 8000GシリーズはRDNA 3アーキテクチャのGPU「Radeon 700Mシリーズ」を統合している。型番の「G」は、「Graphics(グラフィックス)」を表すようだ。
モバイル向けには「Ryzen 8040シリーズ」も発表されているが、Ryzen 8000Gシリーズはあくまでも“デスクトップ向け”APUとなる。Ryzen 7000シリーズと同様に、AMD B650/X670チップセットを備えるマザーボードと組み合わせて利用可能だ。ただし、出荷時期によっては事前にUEFI(BIOS)の更新が必要となるので注意したい。
Ryzen 8000Gシリーズに搭載されるRadeon 700Mシリーズは、GPUコアの演算ユニット(CU)の数によって「Radeon 740M(4CU)」「Radeon 760M(6CU)」「Radeon 780M(12CU)」の3種類に分かれる。今回レビューするRyzen 5 7600GはRadeon 760M、Ryzen 7 8700GはRadeon 780Mを備えている。Ryzen 7000シリーズのGPUコアが2CUで、しかも旧世代(RDNA 2アーキテクチャ)だったことを考えると、結構なパワーアップといえる。
AMDによると、Ryzen 700Mシリーズのターゲット解像度はフルHD(1080p/1920×1080ピクセル)とされており、Ryzen 7 8700Gが搭載するRadeon 780Mは、Core i5-13400FとGeForce GTX 1650を組み合わせた環境よりもパフォーマンスが良いという。超解像技術「FidelityFX Super Resolution(FSR)」や、フレーム補間技術「Fluid Motion Frames(FMF)」も利用できるので、タイトル次第だが思った以上にゲームを楽しめそうでもある。
外部GPUなしの構成で、メインストリームの解像度で多くのゲームが遊べる――そうであれば、コンパクトなPCや低予算PCの構成における選択肢が広がる。
先述の通り、Ryzen 8000GシリーズにはRyzen AIも搭載されている。このNPUはXDNAアーキテクチャに基づいたもので、対応アプリであれば推論ベースのAI(人工知能)のパフォーマンスを大きく引き上げることができる。
ただし、Ryzen AIを搭載するのは今回レビューする2製品のみとなる。エントリークラスのRyzen 3 8300G(※1)とRyzen 5 8500Gには搭載されていないので注意しよう。
(※1)自作パーツを用いるビルダーを含むPCメーカー限定で出荷
なお、CPUコアは最新のZen 4アーキテクチャでRyzen 5 8600Gが6コア12スレッド(最大4.9GHz)、Ryzen 7 8700Gが8コア16スレッド(最大5.1GHz)構成となっている。
次のページでは、両APUの実力をベンチマークテストを通してチェックしていく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.