3万円台から買えるデスクトップAPU「Ryzen 8000G」の実力を試す 強い内蔵GPUは明確なメリットだ先行レビュー(1/5 ページ)

» 2024年01月29日 23時00分 公開
[迎悟ITmedia]

 AMDが1月9日(米国太平洋時間)に発表したデスクトップ向けの新型APU「Ryzen 8000Gシリーズ」が、北米において1月31日に発売される。日本でも2月2日(金)午前11時から販売が解禁される予定で、パッケージ版(箱入りの単体販売)の想定販売価格(税込み)は以下の通りとなる。

  • Ryzen 5 8500G:2万9800円 (税込み)
  • Ryzen 5 8600G:3万9800円 (税込み)
  • Ryzen 7 8700G:5万7800円 (税込み)

 今回、AMDからシリーズの上位モデルでNPU「Ryzen AI」を内蔵する「Ryzen 5 8600G」と「Ryzen 7 8700G」をレビューするためのキットをお借りすることができた。これを使って、Ryzen 8000Gシリーズーの“実像”に迫る。

パッケージ Ryzen 5 8600G(左)とRyzen 7 8700G(右)のパッケージ。両者共にNPUを搭載しているため「Ryzen AI」の記載も見られる

Ryzen 8000GシリーズってどんなAPU?

 Ryzen 8000Gシリーズは、2022年に登場した「Ryzen 7000シリーズ」と同じ「Socket AM5」プラットフォーム向けのAPU(GPU統合型CPU)だ。Ryzen 7000シリーズは型番に「F」の付くモデル以外にZen 2アーキテクチャのGPUを統合していたが、Ryzen 8000GシリーズはRDNA 3アーキテクチャのGPU「Radeon 700Mシリーズ」を統合している。型番の「G」は、「Graphics(グラフィックス)」を表すようだ。

 モバイル向けには「Ryzen 8040シリーズ」も発表されているが、Ryzen 8000Gシリーズはあくまでも“デスクトップ向け”APUとなる。Ryzen 7000シリーズと同様に、AMD B650/X670チップセットを備えるマザーボードと組み合わせて利用可能だ。ただし、出荷時期によっては事前にUEFI(BIOS)の更新が必要となるので注意したい。

パッと見変わらず Ryzen 5 8600G/Ryzen 7 8700Gの外観は、既存のRyzen 7000シリーズと変わりない
収まった所 本APUは、AMD B650/X670チップセットを備えるSocket AM5対応マザーボードと組み合わせて利用できる。ただし、マザーボードがRyzen 8000Gシリーズ対応のUEFIが適用されていない場合は、事前にUEFIを更新しなければならないこともある

 Ryzen 8000Gシリーズに搭載されるRadeon 700Mシリーズは、GPUコアの演算ユニット(CU)の数によって「Radeon 740M(4CU)」「Radeon 760M(6CU)」「Radeon 780M(12CU)」の3種類に分かれる。今回レビューするRyzen 5 7600GはRadeon 760M、Ryzen 7 8700GはRadeon 780Mを備えている。Ryzen 7000シリーズのGPUコアが2CUで、しかも旧世代(RDNA 2アーキテクチャ)だったことを考えると、結構なパワーアップといえる。

 AMDによると、Ryzen 700Mシリーズのターゲット解像度はフルHD(1080p/1920×1080ピクセル)とされており、Ryzen 7 8700Gが搭載するRadeon 780Mは、Core i5-13400FとGeForce GTX 1650を組み合わせた環境よりもパフォーマンスが良いという。超解像技術「FidelityFX Super Resolution(FSR)」や、フレーム補間技術「Fluid Motion Frames(FMF)」も利用できるので、タイトル次第だが思った以上にゲームを楽しめそうでもある。

 外部GPUなしの構成で、メインストリームの解像度で多くのゲームが遊べる――そうであれば、コンパクトなPCや低予算PCの構成における選択肢が広がる

GPU-Z 「GPU-Z」で確認したRadeon 760M(左)とRadeon 780M(右)の情報。特にRadeon 780Mについては、下手な独立GPUよりも強そうなスペックを備えている
1080p フルHD解像度かつ低品質であれば、結構ヘビーなタイトルでも平均フレームレートが60fpsを超える。これだけのレートを確保できれば、最低限遊べるレベルにはなる(AMD提供資料より)
一番弱いのでも強い エントリークラスのRyzen 5 8500G(Radeon 740M)であっても、Intelの「Core i7-14700K」(Intel UHD Graphics)よりも平均フレームレートは高い(AMD提供資料より:Core i7-14700Kを1とした場合の相対値)
Radeon 780M Ryzen 7 7800G(Radeon 780M)については、Core i5-13400FとGeForce GTX 1650の組み合わせよりも良好なパフォーマンスを発揮できるという。「CPUは最新、GPUは据え置き」という買い換えをするくらいなら、CPUごとスイッチしましょうという提案のようだ(AMD提供資料より)
FSRなどを使うともっとすごい AMD Softwareに内包された「HYPR-RX」とFMFを使うと、平均フレームレートを大きく改善する効果があるという。ただし、FMFについてはタイトルによって効果の程度が大きく変わる(AMD提供資料より)

 先述の通り、Ryzen 8000GシリーズにはRyzen AIも搭載されている。このNPUはXDNAアーキテクチャに基づいたもので、対応アプリであれば推論ベースのAI(人工知能)のパフォーマンスを大きく引き上げることができる。

 ただし、Ryzen AIを搭載するのは今回レビューする2製品のみとなる。エントリークラスのRyzen 3 8300G(※1)とRyzen 5 8500Gには搭載されていないので注意しよう。

(※1)自作パーツを用いるビルダーを含むPCメーカー限定で出荷

CPU-Z 「CPU-Z」でRyzen 5 8600G(左)とRyzen 7 8700Gの情報をチェックする
上位モデルのIPU 上位モデルに搭載されているRyzen AIを使うには、Windowsのデバイスマネージャー上で「AMD IPU」が認識されている必要がある(参考リンク

 なお、CPUコアは最新のZen 4アーキテクチャでRyzen 5 8600Gが6コア12スレッド(最大4.9GHz)、Ryzen 7 8700Gが8コア16スレッド(最大5.1GHz)構成となっている。

 次のページでは、両APUの実力をベンチマークテストを通してチェックしていく。

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2024年12月07日 更新
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