ここからは内蔵GPUに焦点を当てたテストを実施していく。
まず、3Dグラフィックスの総合ベンチマークテストアプリ「3DMark」の主要なテストを比較対象となるシステムで一通り実行してみる。今回は、DirectX 11ベースの「Fire Strikeシリーズ」とDirectX 12ベースの「Time Spyシリーズ」「Night Raid」を実施した。総合スコアを見てみよう。
一目瞭然だが、Ryzen 8000Gシリーズ(Radeon 700Mシリーズ)の内蔵GPUの性能は圧倒的だ。CPUに内蔵されたGPUとしては非常に優秀といえる。
性能向上が最も分かりやすいのが、Ryzen 5 5600GとRyzen 5 8600Gとの比較だ。いずれもスコアが2倍に伸びている。Ryzen 5 5600Gを含めて、AMDは「他社のGPU内蔵CPUよりもグラフィックス性能が高い」とAPUをアピールしてきたが、Ryzen 8000Gシリーズではその優位性が一層際立っている。
ちなみに、Ryzen 5 8600GとRyzen 7 8700GではDirectX 12ベースのリアルタイムレイトレーシングテスト「Port Royal」(4K描画)もテストした。結果は以下の通りで、オマケ程度だと思った方がよい。
続いて、実際のゲームをベースとするベンチマークテストを実行してみよう。
まず、比較的軽量な「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレ ベンチマーク(FF14ベンチマーク)」を試してみる。画質設定は「最高品質」として、フルHD/WQHD/4Kの3つの解像度でテストを行った結果は以下の通りだ。
外部GPUにはかなわない値であることは確かなのだが、それでも従来の内蔵GPUからは想像できないくらい良好なスコアを記録した。
先述の通り、Radeon 700MシリーズはフルHDをターゲットとしている。なのでWQHD以上の解像度でプレイしようとすると設定を見直すよう案内されるが、フルHDなら「快適」または「やや快適」の評価なので、少し古めのゲームタイトルであれば十分に遊べると判断していいだろう。
もっといえば、今回は最高品質でテストしたので、プレイに支障のない範囲で画質設定を落とせば、内蔵GPUとは思えないほどスムーズに遊べるはずだ。
続いて、負荷の重い「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK(FF15ベンチマーク)」を実行してみよう。画質を「高品質」に設定し、フルHD/WQHD/4Kの3解像度でベンチマークを実行した結果は以下の通りとなった。
負荷の重いタイトルは、さすがに厳しい結果となる。「ノートPCでは遊べない」と一般的に評されるようなゲームタイトルは、基本的に内蔵GPUの処理性能が足りなくて遊べないというケースが多い。
最近は、デスクトップ向けよりも、モバイル(ノートPC)向けCPUの内蔵GPUの方がむしろ高性能という傾向もあるので、デスクトップ向けCPUの内蔵GPUだとスコアが一層“厳しい”こともある。
その点、Ryzen APUはデスクトップ向けでも内蔵GPUの性能が比較的良いことで定評があった。今回のRyzen 8000Gシリーズも、ある意味でご多分にもれない性能を備えてはいる。それでも、重たいゲームはそのままの設定では厳しいということだ。
ここまで試してみると「もっと重たいゲームはどうなんだろう……?」という興味が湧いてくる。超解像技術を始めとする技術を駆使すれば何とか遊べるのではないか、とも思える。次のページで実際に確かめてみよう。
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