SSDの換装は、新品のSSDの他に精密ドライバーがあればできてしまう。どのサイズのドライバーが必要かは機種によって異なる。モデルによっては特殊ドライバーが必要なこともあるので注意したい。
換装の手順はモデルによって異なるが、大まかには以下の通りとなる。
PCの電源を完全に切る場合、Windows 11の電源メニューでShiftキーを押しながら「シャットダウン」を選択すればOKだ。
裏ぶたの開閉はネジを外せばいいのだが、モデルによっては本体内側にも爪(ストッパー)が用意されていることがあるので、ネジを外しただけでは取れない場合もある。そのような構造のノートPCの場合は、ギターのピックや薄めの定規など、隙間に挟み込みやすいものを用意すると裏ぶたを外しやすくなる。
今回SSDを換装するLIFEBOOK UH90/E3の場合、10本のネジを全て外せば裏ぶたがすぐに取れる素直な設計だ。ただし、ネジのうち2本が滑り止め(ラバー)と合い締めされているため、滑り止めを紛失しないように注意しなくてはならない。
最近のノートPCは、裏ぶたを外すとすぐに内蔵ストレージへとアクセスできる設計のものが多い。LIFEBOOK UH90/E3もご多分にもれず、冷却ファンの右側にM.2 SSDが装着されている。
ただし、本機の場合はSSDモジュールが通常とは反対向き(裏が表になるよう)に実装されているので、その点にだけは気を付けたい。もっとも、M.2スロットには切り欠きがあるので、ごく一部のモジュールを除いて“しかるべき”向きにしか刺さらないはずだ。
当然だが、新しいSSDにはOSが入っていない。そのため、リカバリーメディアからWindowsを起動して、SSDにWindowsをインストールしなければならない。
通常、PCは内蔵ストレージにOSがインストールされていないと、他のメディア(USBメモリなど)からの起動を試行する。このタイミングでリカバリーメディアを差し込んでおくと自動で起動する場合がある。
起動メディアが見つからなかった場合、UEFIのセットアップ画面、または「起動デバイス」の選択メニューに遷移する。起動デバイスの選択メニューが出た場合は、ここでリカバリーメディアを選べば起動できる。
USBメモリからの起動がうまく行かない、あるいは起動メディアの選択画面が出ない場合は、電源を入れてメーカーあるいはブランドのロゴが出たタイミングでキーボードの「F12キー」を押すことで起動メニューを表示できることが多い。
ただし、モデル(あるいは設定)によっては起動メニューの呼出方法が異なったり、そもそも無効化されていたりすることもある。リカバリーメディアからうまく起動できない場合は、使っているPCの取扱説明書やサポートサイトを参照してみてほしい。
Windowsで作成した回復ドライブをリカバリーメディアとしている場合、起動したら以下の手順でOSの再インストールを行える。
(※2)「ドライブを完全にクリーンアップする」を選ぶとセットアップにより時間を要する
準備が整うと、Windowsのセットアップ画面に遷移する。先述の通り、LIFEBOOK UH90/E3はWindows 10 Homeをプリインストールしているが、再インストールすることなくWindows 11 Homeにバージョンアップし、Microsoft Storeを通してWindows 11 Proにアップグレードした。
「どのエディションで回復されるんだろう……」と若干ワクワクしていたのだが、結論をいうとWindows 11 Proとして回復が行われた。メーカー製のプリインストールPCでのみ見られるメーカー独自のセットアップステップも堅持されていた。
SSDを換装したことと相まって、PCを買い直した気分になる。結果論だが、OSのリカバリーを選んでよかったかもしれない。
SSDの換装を終えたLIFEBOOK UH90/E3だが、WD BLUE SN580はPCI Express 3.0接続で認識された。想定通りといえば想定通りなのだが、どのくらいのパフォーマンスが発揮できるのか、テストしてみよう。
換装直後(バックアップデータを書き戻す前)に、CrystalDiskMark 8.0.4を使って読み書きのスピードを計測したところ、シーケンシャルリードは毎秒3393.78MB、シーケンシャルライトは毎秒3429.64MBとなった。読み書き共に、公称スペックの約8割の速度は出ている。ランダムのリード/ライトも、換装前から改善できている。
PCI Express 3.0 x4接続の場合、理論上の最高速度は毎秒3900MB程度となる。そう考えると、WD BLUE SN580はPCI Express 3.0 x4対応のPCにも“ピッタリ”な選択肢といえそうだ。
M.2 SSDで気になる発熱だが、しばらく使ってみた限りにおいては換装前と大きく変わらない。CrystalDiskInfoを介して確認できる(SMART情報ベースの)モジュール温度はピーク時でも55度程度だったので、システムの安定という意味では問題ない範囲といえるだろう。
メーカー(あるいは販売店)の保証がどうなるかという点はさておいて、購入から数年経過したノートPCのリフレッシュやチューンアップの手段の1つとしてSSDの換装は“アリ”といえる。この記事がその参考になれば幸いだ。
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