「IdeaPad S10e」から15年――レノボ・ジャパンのコンシューマーPCの歩みを振り返る(1/3 ページ)

» 2024年02月08日 06時00分 公開
[井上翔ITmedia]

 レノボ・ジャパンは2月7日、のコンシューマー向けPCの15年間を振り返る報道関係者向けのイベントを開催した。

 2005年5月、同社は日本アイ・ビー・エム(日本IBM)からPC事業を継承する形で発足した。当初は日本IBMから継承した「ThinkPad」「ThinkCentre」といったビジネス向けPCを展開していたが、2008年からコンシューマー向けPCに本格参入した。

 そして現在は、メインストリームの「Idea(アイデア)」、プレミアムラインの「Yoga(ヨガ)」、ゲーミング用途に最適化された「Legion(レギオン)」「LOQ(ロック)」の4ブランドを展開している。

 この15年間、どのようなPCが登場したのだろうか。特に注目すべきモデルを振り返ってみよう。

コンシューマーモデルの系譜 製品ブランド視点から見たレノボ・ジャパンの年表。2005年の会社発足時はThinkブランド(ビジネス向けPC)に主軸を置いていたが、2008年にコンシューマー向けPCを本格的に投入し始めた
櫛田さん コンシューマー向けPCの振り返りを担当した、レノボ・ジャパンの櫛田弘之氏(コンシューマ製品事業部 部長)。手にしているのはCES 2024でグローバル発表された「Legion 7i Gen 9(16型)」と思われ、日本への投入を検討しているという

全ては「ネットブック」から始まった

 先述の通り、レノボ・ジャパンは当初、Thinkブランドのビジネス向けPCを展開していた。米IBMと中国Lenovoとの契約に基づき、Thinkブランドの製品には原則としてIBMロゴが付いていたが、2008年の新製品からはIBMロゴを外して販売するようになった。

ThinkPad R61 レノボ移管後も、Thinkブランドの製品には原則としてIBMロゴが付いていた。しかし、日本では2008年2月に発売された「ThinkPad R61」のCore 2 Duo T8100モデル(画像)以降はIBMロゴを省くようになった(IBM時代にない新ブランドとして投入されたデスクトップワークステーション「ThinkStation」は当初からIBMロゴ抜き)

 これと並行して、同社ではコンシューマー向けPCへの本格参入を模索していた。

 Lenovo(レノボ)ブランドを冠する(IBMブランドを付与しない)PC自体は、2006年に登場した「Lenovo 3000シリーズ」がよく知られている。しかし、Lenovo 3000シリーズは小規模ビジネス(SOHO)向けモデルであり(今でいうと「ThinkBook」や「ThinkPad Eシリーズ」「ThinkCentre neoシリーズ」が担う部分)、コンシューマー向けではなかった。

 同社初のコンシューマー向けPCはどうあるべきか――検討を進める中で、いわゆる「ネットブック(Netbook)」のブームが訪れた。その名の通り、ネットブックはインターネットを楽しめる最小限のスペックを備えたノートPCで、中には5万円を切るものもあり、PCの購入障壁を大きく下げた。

 このブームをチャンスと捉えた同社は2008年12月、初めてのコンシューマー向けPCとして「IdeaPad S10e」を発売した。発売当初の税(8%)込み直販価格は5万4800円だった。

 IBM時代からの実績もあり、ビジネス向けPCでは知名度の高いレノボだったが、コンシューマー向けでは“新参者”。販路の開拓は結構大変だったようだ。それでも、当時のネットブックブームも手伝って、IdeaPad S10eは一時的に国内在庫が枯渇するレベルのヒットを記録した。

 その後、2009年3月には同モデルの廉価版として「IdeaPad S9e」も登場している。

系譜図 クラムシェルタイプのノートPC(IdeaPad/Yoga Slim)の系譜図
IdeaPad S10e レノボ・ジャパンとして初めて“コンシューマー向け”モデルとして投入された「IdeaPad S10e」。モバイルデータ通信の専用プランとのセットで買ったという人も少なくないだろう(筆者もそうだった)
IdeaPad S9e ディスプレイを8.9型にした廉価モデル「IdeaPad S9e」も投入された

 レノボのコンシューマー向けPCの“足がかり”は、ネットブックだった。ここから、さまざまなフォームファクターのPCが登場することになる。

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