レノボ・ジャパンの「Legion Go」は、Ryzen Z1 Extremeを搭載するポータブルゲーミングPCだ。本体左右のゲームコントローラー(パッド)を着脱可能な上、両コントローラーをBluetooth接続でき、果ては「FPSモード」にすることでワイヤレスマウス(とWASDキーのみのキーボード)として機能する。
この手のポータブルゲーミングPCとして、Legion Goは後発組だ。その実力はいかほどのものか、借用した実機でチェックしていこう。
本機は、AMDの「Ryzen Z1 Extreme」というAPU(GPU統合型CPU)を搭載している。
CPUコアは「Zen 4cアーキテクチャ」で、8基16スレッド(3.3GHz〜5.1GHz)を備える。Zen 4cはダイ面積を「Zen 4アーキテクチャ」比で約35%削減して消費電力を抑えつつも、Zen 4アーキテクチャの高い演算パフォーマンスを維持したことが特徴だ。TDP(熱設計電力)は9〜30Wに設定されている。
本体単体時で約210(幅)×131(奥行き)×20.1(厚さ)mm、約639gというサイズと重量なのに、最大5.1GHzで駆動する8コア16スレッドCPUが搭載されているというのは、結構“胸熱”なのではないだろうか(「だから厚いのでは?」という意見はあるかもしれないが)。
GPUコアは「RDNA 3アーキテクチャ」に基づくもので、12基搭載されている。RDNA 3アーキテクチャはリアルタイムレイトレーシング(RT)処理や、超解像技術「Radeon Super Resolution(RSR)」などRadeon RX 7000シリーズと同等の機能を利用できる。
GPUコア(CU/演算ユニット)の基数は独立GPUたる同シリーズと比べると少ない。しかし、CPUに統合されたGPUとしてはかなり強力で、HD(720p/1280×720ピクセル)あるいはフルHD(1920×1080ピクセル)での描画なら、ある程度ゲームを楽しめそうではある。
メモリの容量は16GB(LPDDR5X規格)となる。最近のモバイルゲーミングPCとしては過不足のない容量だが、本機はグラフィックス描画をAPUに委ねており、最大で約3GBがグラフィックスメモリとして消費される。
最近はグラフィックスメモリだけでなく、システム(メイン)メモリを多く消費するゲームタイトルもある。そのようなタイトルをプレイするのは若干厳しい……と思ったのだが、そこまでガチなタイトルをプレイしたいならGPUボックスをつなぐか、そもそも外部GPU付きのゲーミングPCからリモートプレイすると思うので問題にはならないだろう。
SSDはPCI Express 4.0 x4接続で、容量は512GBとなる。主に軽めのゲームタイトルを楽しむのであれば必要十分だが、データ容量の大きいタイトルを複数楽しむ場合は少し心もとないかもしれない。
今回の評価機には、ウエスタンデジタル(WD)のPCビルダー向けSSD「WD PC SN740」のType 2242/OPAL(※1)非対応/512GBモデル(SDDPNQD-512G)が搭載されていた。公称のシーケンシャル読み出し速度は毎秒5000MB、シーケンシャル書き込み速度は毎秒4000MBと、そこそこハイスペックである。
(※1)自己暗号化機能(モジュール単体で暗号化が可能)
なお、搭載されているSSDからも分かる通り、本機のSSDスロットは「M.2 Type 2242」で、バックパネルを外せば簡単に交換できる。しかし、以前の記事でもお伝えした通り、本機のSSDはCRU(Customer Replacable Units:ユーザーによる交換可能部品)として定義されていないため、換装は自己責任ということになる。希望者に対して「SSDアップグレードサービス」的なものがあるとベターなように思う。
ちなみに、本機にはmicroSDメモリーカードスロットも用意されている。一時的にファイルを保存するためのストレージを用意したい場合は、ここにある程度大容量のmicroSDを差し込んでおくという手もある。
このスロットの他、本機の上部にはUSB4(USB 40Gbps)端子とイヤフォン/マイク端子が、下部にはUSB4端子がある。上下のUSB4端子は機能的に同一で、USB PD(Power Delivery)による電源入力と、DisplayPort Alternate Modeによる映像出力にも対応している。
ディスプレイやゲームコントローラー部について、もう少し詳しく見ていこう。
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