Lenovoといえば、コンシューマー向けのプレミアムブランド「Yogaシリーズ」ではNPUを統合したCore Ultraプロセッサ(シリーズ1)を採用し、AI PCであることを積極的にアピールしている。
それに対して、Legion/LOQシリーズにCore Ultraプロセッサ(シリーズ1)搭載モデルはない。しかし、これはLenovoがゲーミングPCにおけるAIを軽視していると受け取るのは早計だ。グループインタビューで、チョン氏はゲーミングPCにおけるAIについて以下のように語っている。
現在のRPGでは、ゲーム内の操作できないキャラクター(いわゆるNPC)と話をする場合、プレーヤーの問いに対して、あらかじめ設定されている返答しかできません。しかし、AIを活用すれば、実際に存在している人と同じように、NPCとチャットで会話が行えるようになると思います。
ゲームの状況に応じてAIが自然な言葉を作成し返答できるようになると、ゲームへの没入感は大きく高まるでしょう。ゲーミングでのAIの可能性は、こういった部分にあると考えています。
加えて、AIという観点では、LenovoはLegion/LOQノートPCの一部に独自のAIチップ「Lenovo LA AI chip」を数年前から搭載している。今回の新モデルにも同チップが採用されており、システム動作の効率化に使われている。
チョン氏によると、Legionシリーズでは同チップがCPUやGPUや冷却システムの動作や各種センサーの挙動を監視し、それらの動作を最適化することで最大限の性能を引き出しているという。これを「Legion AI Engine+」として訴求していくとのことだ。
チョン氏とのグループインタビューでは、これ以外にもいくつか質疑応答が行われた。簡単ではあるが、主なやりとりを紹介する。
―― 日本市場におけるゲーミングPCの位置付けについて、どのようにお考えでしょうか。
チョン氏 日本は家庭用ゲーム機の本拠地といっていいと思います。そのこともあり、日本では多くの人が家庭用ゲーム機でゲームを楽しんでいると考えられています。
しかし、近年は日本でもPCゲーム人口が増加しているのは間違いありません。実際に、当社のLegionシリーズは2023年、日本で驚異的な成長(販売台数の増加)を遂げました。日本にもPCゲームが好きなゲーマーが多数いるということです。
また、日本にはゲーム開発者が多く、日本語で開発され日本だけで販売されるゲームも数多く存在します。レトロゲームが好きなゲーマーが多いことも特徴だと思います。そういったところは非常に素晴らしいことですし、ゲーミングPC(の普及)において重要な要素だと思います。
―― 新しい「Legion 9i」には、世界初となる内部循環型の液冷システムが採用されてます。そちらにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
チョン氏 Legion 9iに搭載した液冷システムは、デスクトップPCにおける液冷(水冷)システムとは大きく異なります。利用する液体の量は非常に少ないですし、CPUやGPUをより効率良く冷却することを目的とするものでもありません。
ゲームプレイ中は描画の状況によって、CPUやGPUの稼働率が常に変動します。CPUやGPUの処理が多くなると、当然発熱が大きくなり急激に温度が高まります。すると、CPUやGPUがそれを察知して、動作クロックを下げてしまいます(いわゆる「サーマルスロットリング」)。
今回Legion 9iに搭載した液冷システムは、CPUやGPUの急激な温度上昇を抑えることを目的として搭載されました。液冷システムで温度の急上昇を抑えることで、動作クロックが安定し、快適なゲームプレイを実現します。
―― Legion/LOQシリーズは、(デスクトップモデルも含めて)どちらかというとゲーミングPCらしくないデザインの製品が多いように思えます。何か意図があるのでしょうか。
チョン氏 我々は、常にユーザーの声を聞いています。そういった中で「ゲーミングPCらしいデザインが好き」という人もいれば、そうではない人もいます。私自身は「いかにもゲーミングPC」なデザインよりも、「シンプルなデザイン」が好きです。
Legion/LOQでは「ゲーミングPCらしいデザイン」「RGBライティングを多く取り入れたデザイン」「シンプルなデザイン」といった感じで、多くのユーザーに対応できるようにラインアップを整えています。
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