このモデルを検討する上でキーになるのは、フルHDの解像度をどう見るかでしょう。13型のフルHDはノートPCなどで一般的とはいえ、有機ELの液タブという枠では2つの不利な点があります。
1つ目はまあ当然、近くで見ればドット感は気になりやすいということです。2つ目はややトリッキーで、下の写真を見比べてみてください。
有機ELでは劣化対策などの理由で青色の素子を大きく作るのが一般的で、画素単位で見ると液晶ほどキレイな並びではありません。これは十分に高密度ならばどうでもいい差ですが、ドットが見えやすい状況ではザラつき感や偽色など、表示するものによっては気になりやすい状況がありえます。
この特性はカラーイラストの実作業ではおおよそ気にならないはずで、自分の感覚でもそうでした。気を付けたいのは、漫画制作などでシャープなブラシを主に使おうと見込んでいる場合です。この条件では、エッジの偽色や細い線のザラつき感が気になりやすく、似たスペックでは液晶ディスプレイの「Wacom One 13 液晶ペンタブレット touch」の方が、偽色がないわけではないとはいえ穏当な見え方でした。上記の使い方に当てはまるならば実機を見て、違和感を覚えたりや目の疲れを感じたりせずに作業できそうか確かめておくのが良いでしょう。
さて、本機には基本的に新Cintiq Proシリーズと同じ、「Pro Pen 3」が付属します。
全体として、自分が長く満足して使っていたPro Pen 2からも確かに進化が感じられる内容になっています。必要に応じて「Cintiq Pro 27」のレビューを参照してください。
ただし、Pro Pen 3本体以外の付属品はCintiq Proシリーズとは異なります。太いグリップは別売になり、替え芯と芯抜きを内蔵化するのと引き換えに重心調整のオモリは省略、となっています。
Pro Pen 3自体は素晴らしいのですが、これまでは何十万円もするCintiq Pro新シリーズでしか利用できませんでした。それが比較的手軽な機材で使えるようになったのは喜ばしいですし、この調子で他のモデルにも広まってほしいところですね。
また、本機はPro Pen 2や汎用(はんよう)ペンテクノロジーにも対応しており、Dr.GripやLAMYなどの文房具メーカーのワコムペンを利用できます。
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