Intelが6月上旬に発表した「Xeon 6プロセッサ」は、「Sierra Forest」(開発コード名)というサーバ/データセンター向けCPUとして予告されていたものだ。Xeon 6プロセッサには、Sierra Forest以外にも「Granite Rapids」(開発コード名)として開発されている製品もあるが、そちらは少し遅れて登場するようだ。
これまでXeonプロセッサは、データセンター/HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)向け製品が「Xeon スケーラブル・プロセッサ」、ワークステーション向け製品が「Xeon Wプロセッサ」、組み込み機器用製品が「Xeon Dプロセッサ」、中小規模サーバ向け製品が「Xeon E プロセッサ」……と、用途別に細かいセグメンテーションが行われてきた。
ところが、今回登場するXeon 6プロセッサでは、シリーズ名がXeonの後ろに世代数を添える形に変更され、用途の区分けをモデル名によって行うようになった。このようなリブランドの背景として、Xeonの成り立ち自体に“大きな変化”が起きたことがあるという。
本稿では、Xeon 6プロセッサの基本情報と、同プロセッサで行われた“大きな変化”を解説する。
先述の通り、Xeon 6プロセッサのCPUコアには「Sierra Forest」と「Granite Rapids」の2種類が存在する。電力効率に優れた高効率コア(Eコア)だけを搭載したものがSierra Forest、シングルスレッド性能重視の高性能コア(Pコア)のみを搭載したものGranite Rapidsだ。
どちらも同じ「Xeon 6プロセッサ」なのだが、得意とする用途が異なる。そもそも搭載されているCPUコアの種類も異なるため、それぞれが“別の”CPUのような扱いで開発が進められてきた。
速報記事にもある通り、6月から出荷が始まったのは小型パッケージで提供されるSierra Forest「Xeon 6 6700Eシリーズ」で、2024年第3四半期(7〜9月)には大型パッケージのGranite Rapids「Xeon 6 6900Pシリーズ」の出荷が始まる予定だ。
その後、2025年第1四半期(1〜3月)に大型パッケージのSierra Forest「Xeon 6 6900Eシリーズ」、小型パッケージのGranite Rapids「Xeon 6 6700P」もリリースされる予定だ。なお、大型パッケージのCPUソケットは「LGA7529」、小型パッケージのCPUソケットは「LGA4710」にそれぞれ適合する。
製品型番末尾にEが付いているのがEコアモデル(Sierra Forest)、Pが付いているのはPコアモデル(Granite Rapids)となる。色分け的にも青がEコアモデル、紫がPコアモデルという位置付けだ(クリックで拡大:以下同)
今回のXeon 6 6700E/6900Eシリーズは、第2世代Xeonスケーラブル・プロセッサからの移行を想定した製品だ。消費電力当たりの性能(いわゆる「ワッパ」)が劇的に向上していることをアピールしている
Xeon 6プロセッサは、主に「より高速なDDR5メモリへの対応」「CXL 2.0対応」「PCI Express 5.0のレーン数拡大」がアピールポイントとなる。大型パッケージ版は、数百コア規模のCPUを1ソケットで実現できるところも訴求点だここまでの話を整理すると、Xeon 6シリーズの現時点における構成は以下のようになる。
繰り返しになるが、6月にが始まったXeon 6 6700Eシリーズは、すなわち「小型パッケージのEコアモデル」となる。
Xeon 6プロセッサの6700シリーズ(小型パッケージ)と6900シリーズ(大型パッケージ)の特徴。対応メモリモジュールは、EコアモデルでDDR5-6400まで、PコアモデルではDDR5-8000〜8800となる
第5世代Xeonスケーラブル・プロセッサ(開発コード名:Sapphire Rapids)と比較した場合の性能向上率。なお、Xeon 6プロセッサでは、「CXL 2.0対応」が一番ホットなトピックである
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