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M4チップ搭載「iPad Pro」による「書類のスキャン」は一味違う? 他のモデルと使い比べてみて分かったこと(3/4 ページ)

» 2024年07月04日 17時00分 公開
[山口真弘ITmedia]
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アダプティブTrue Toneフラッシュが使えるのはiPad Pro(M4)だけ

 以上がおおまかな流れだが、スマートフォンないしはタブレットのカメラを使って書類を撮影する行為は、昨今多くの人が日常的に行っており、そのための専用アプリも多数存在している。今回のiPad Pro(M4)による「書類のスキャン」は、それらとはどこが異なるのだろうか。

 まず1つは書類を認識すると、自動的にキャプチャが行われることだ。スマホやタブレットでの撮影にあたり、タップした瞬間にブレてしまうことはよくあるが、自動的にキャプチャが実行される「書類のスキャン」ではその心配がない。台形補正の認識が自動的に行われるのも便利だ。

iPad Pro M4 書類 スキャン 比較 リアカメラ アダプティブTrue Toneフラッシュ 「自動」にしていると、書類を認識してのキャプチャ、さらに範囲選択からの台形補正も自動的に行われるようになる

 もう1つは、フラッシュを用いて影の削除が行われることだ。こうしたスマホやタブレットによる書類の撮影では、テーブル上に置いた書類に覆いかぶさるように撮影するため、スマホやタブレットが書類に影を落としてしまいがちだ。しかしこの「書類のスキャン」では、必要に応じてフラッシュが自動的にオンになるので、影が発生しない。

 もっとも、試した限りでは万能というわけではないようだ。近距離からフラッシュを発光させるため、書類の中央は白く飛び、周囲はやや暗いという、いかにもフラッシュ撮影時にありがちなトーンになることもまれにある。

 天井の光源が強く、書類に落ちる影がくっきりしている場合、フラッシュだけでは影が完全に除去できないこともある。この場合、あえて部屋の照明を消してフラッシュだけで撮影した方が、光源が均一化されて仕上がりが美しくなる場合もある。このあたりは、ユーザー側が工夫する余地が少なからずある。

iPad Pro M4 書類 スキャン 比較 リアカメラ アダプティブTrue Toneフラッシュ スマホやタブレットによる書類の撮影では、それらの影が書類にかぶってしまうこともしばしばだ
iPad Pro M4 書類 スキャン 比較 リアカメラ アダプティブTrue Toneフラッシュ フラッシュなし(左)と、あり(右)の比較。フラッシュなしだと影が映り込むが、フラッシュありだとそのようなことがない
iPad Pro M4 書類 スキャン 比較 リアカメラ アダプティブTrue Toneフラッシュ 撮影環境によっては、フラッシュあり(左)では中央が白く飛び、四隅に影が残るケースも発生する。この場合、部屋の照明を消すことで高品質に仕上がる場合もある(右)

 なお「書類のスキャン」の補正機能では、影の除去に加えて、色合いの調整も行われるとされているが、実際に試した限り、あまりピンと来ないというのが正直なところだ。

 試しに本製品の他、2世代前にあたる第5世代の「12.9インチiPad Pro」、さらに本製品と同時発売の13インチiPad Airの3モデルで同じ書類をキャプチャしてみたが、フラッシュ非搭載で影が除去できないiPad Airはともかく、フラッシュは搭載するがアダプティブTrue Toneフラッシュに対応しない第5世代12.9インチiPad Proとの比較では、ひと目見て分かるほどの違いは感じない。

 強いて挙げれば、黒がくっきりと出がちなように感じられるが、何十枚と撮影していると、第5世代12.9インチiPad Proでもそう変わらない仕上がりが得られることもあり、「これがアダプティブTrue Toneフラッシュの実力だ」と呼べるほどの違いは感じない。

 第5世代12.9インチiPad Proは、フラッシュは強制的に発光させないとオフになったままのケースが多いのに対し、アダプティブTrue Toneフラッシュを搭載した本製品は「自動」にしておけばたいていはフラッシュが発光するので、お任せでスキャンできるという意味では重宝する、というのが違いと言えば違いだ。

iPad Pro M4 書類 スキャン 比較 リアカメラ アダプティブTrue Toneフラッシュ スキャンした画像の比較。左から、本製品、第5世代12.9インチiPad Pro(フラッシュ強制発光)、13インチiPad Air(以下同じ)。本製品はコントラストがやや強めになる。フラッシュのない13インチiPad Airは、影が落ちているせいで文字の濃度が均一ではない
iPad Pro M4 書類 スキャン 比較 リアカメラ アダプティブTrue Toneフラッシュ 別の原稿での画質比較。本製品(左)は地の色を飛ばさず、色を濃いめに見せる傾向があるようだが、毎回こうかというとそうでもない。13インチiPad Air(右)は、フラッシュがないため影はもちろん紙の反射も除去できていない

 ちなみに、本機能の説明には影が写り込む場合は複数の写真を撮影して合成する機能があるとされているが、試した限り、フラッシュの発光回数はつねに同じ(プリスキャン1回+本番1回)で、発光の強弱もないように見える。同社のいう複数回の撮影および合成というのが、見えないところで行われているのか、それとももっと極端な状況でないとオンにならないのかは、今回の実験では判断できなかった。

iPad Pro M4 書類 スキャン 比較 リアカメラ アダプティブTrue Toneフラッシュ 本製品のリリースには、複数の写真を撮ってつなぎ合わせるという趣旨の説明があるが、実際に行われているのかは、iPadの挙動からは判断できなかった

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