プロナビ

なぜPCに「AI」が必要なのか? HPのキーマン2人に聞くHP Imagine 2024(2/4 ページ)

» 2024年10月04日 11時00分 公開

PCのスペックの“バランス”をどう考える?

―― Microsoftの「Copilot+PC」もそうだが、最近PCに求められるスペックが一気に引き上げられる傾向にある。メモリとストレージ容量のバランスについて、どう考えているのか?

チャン氏 まずメモリの話をすると、スピード面は規格が「DDR4」から「DDR5」に移行する過程で、サイズとパフォーマンスの両方が向上した。「今後(スペック面で)何を期待するのか?」が質問の趣旨だと捉えるが、AIの文脈で考えればより多くのプロセッサパワーを要求されるのは間違いない。同時に、そのパフォーマンスはメモリに縛られており、特にローカルで言語モデルを実行しようとすると、特にメモリが重要となる。

 歴史的に、PCで優れたパフォーマンスを得るには少なくとも8GBのメモリが必要とされているが、業界として実際には16GBが最低ラインだと考えている。そして将来的には、より多くのAIモデルが効率化され、それを実行するのに32GBがちょうどいいサイズになる可能性があると思われる。特に大学でSTEM(※2)を学んでいる学生や、フリーランサーとして大量のデータや動画編集を扱っている人には、32GB(のメモリ)はちょうどいい出発点になるだろう。

(※2)科学/技術/エンジニアリング/数学

 ストレージ容量については、こちらもPCのプライバシーを保護しつつ、動画を録画する場合に、いわゆるバックアップを行うアプリが登場することになる。現状では512GBや1TBがボリュームゾーンだが、PCで行う作業次第ではあるものの、より多くの容量が多く求められるようになり、人によっては「スペースは多いに越したことはない」という状況だといえる。

―― AI PCでは内蔵NPUのスペックが重視される傾向があるが、この数字は今後も増え続けると考えているのか?

チャン氏 現状のAI PCでは、NPUの性能は40〜50TOPSクラスが最高レベルだが、特定のアプリではピーク性能を向上すれば、よりパフォーマンスも向上することも分かっている。この話はNPUのみならずGPUにもいえることで、多くのアプリではGPUの方がプログラムを書きやすいという事情がある。

 例えば今回のイベントではCyberLinkとのデモを紹介した。彼らは画像生成はNPU、言語理解はGPUを用いて処理を行っている。つまり、実際のAI処理はNPUとGPUの両方を用いているわけで、重要なのは(処理に使うプロセッサの)組み合わせだと考える。

 NPUは、特定のアプリを実行するのに優れ、非常に電力効率がいい点が特徴だ。過去のPCの歴史を考えれば、NPUに求められる期待値は今後も上がると推測され、5年後のヘビーユーザーにとっては「40TOPSでは足りない!」ということになるかもしれない。

 例えが正しいかは分からないが、NPUの存在はハイブリッドカーのようなものだと考えている。全ての道をバッテリー(のみで動く電気自動車)で走るのが現実的ではないが、これはPCにおけるNPUにも当てはまる。NPUは特定の用途に優れた能力を発揮し、CPUとGPUもまた、特定の用途において秀でている。適切なバランスが重要だ。

PowerDirector イベント中に披露された、CyberLinkの動画編集アプリ「PowerDirctor」のデモ。さまざまなエフェクト効果を生かした動画編集が可能だ
バッテリー PowerDirectorを次世代AI PCと従来型のPCで実行した場合のバッテリー駆動時間の比較。前者の方が消費電力はより少なく、より長時間利用できる

―― HPを含むPCメーカーは、2023年末からIntelの「Core Ultraプロセッサ(シリーズ1)」を搭載した「AI PC」順次発売した。しかし、同プロセッサを搭載するノートPCは、要件の都合でMicrosoftの「Copilot+ PC」のブランドを冠するには至らず、先行して購入したユーザーを失望させている可能性がある。このことをどう考えるか。

チャン氏 確かに、Intelが「AI PC」と呼んだCore Ultraプロセッサ(シリーズ1)のNPUは、ピーク性能が17TOPSで、Copilot+PCの40TOPSという要件を満たせない。だが、重要なのはCopilot+PCはあくまでもAI PCの一側面であり、全ての体験がCopilot+ PCの求めるスペックを必要とするわけではない。現時点で最新のPCを購入すれば、以前のモデルと比べて優れているのは間違いない。お金を少し多めに払うことで、性能に“余力”を持たせられる

 一方で、(前世代のモデルを含む)AI PCを購入することは、今日でもパフォーマンスの面で優れた体験を得られることは確かだ。PCで何をしようとしているのかが重要だと考える。私たちは、単に道を走りたいだけのユーザーに、SUVや定員の多い大型車を販売しようとしているわけではない。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年02月13日 更新
  1. 6500円でデスクに新風! Thermalrightの小型液晶がヒット、背景にメモリ高騰? (2026年02月09日)
  2. ワコムが安い? 驚きの2025年を振り返り メモリ高騰におびえる2026年の「自作PC冬眠」と「次世代CPU」への期待 (2026年02月12日)
  3. キンタロー。も驚くほぼ「入力ゼロ」の“次世代”確定申告 2026年の弥生は3つのAI活用とデスクトップ製品強化を両輪に (2026年02月12日)
  4. 新ARグラス「XREAL 1S」を試す 解像度と輝度が向上、BOSEサウンドで没入感アップ “3D変換”も大きな魅力 (2026年02月10日)
  5. 元Appleのジョナサン・アイブが手掛けるフェラーリ初EVの内装デザイン公開 物理ボタンとデジタルの融合 (2026年02月10日)
  6. マウス社長が3日間“フル参戦”した理由とは? 大阪・梅田のど真ん中で起きた“eスポーツ×地域振興”の化学反応 (2026年02月11日)
  7. アイ・オー、拡張ドック機能を備えたType-C接続対応の27型4K液晶ディスプレイ (2026年02月12日)
  8. 手のひらサイズの小型PCがお得に! GEEKOMが「冬セール」を開催中 (2026年02月12日)
  9. 「雲」から降りてきたAIは「パーソナル」な存在になれるのか――開催から1カ月経過した「CES 2026」を振り返る (2026年02月12日)
  10. ASRock、“CPU起動トラブルを解決”するSocket AM5マザー用のβ版BIOSを公開 (2026年02月10日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年