2024年1月にIntelがMeteor Lakeこと「Core Ultraプロセッサ(シリーズ1)」を発表して以降、PCの世界でも製品紹介の場面で「AI」というキーワードが頻繁に現れるようになった。そしてAI処理に使われる推論演算を低消費電力かつ高速に処理できる「NPU」を内蔵するPCを「AI PC」と呼ぶようになった。
この動きを“先取り”してきたのは、スマートフォンなどのモバイル端末だ。音声入力や文字の書き起こし、その場での撮影写真加工などの用途でAIは大いに活用され、メーカー間での差別化ポイントとして何年にも渡りアピールされてきた。この動きは普及価格帯のモバイル端末にも波及しており、ある意味でモバイル端末では“必須機能”となっている。
こうした経緯もあるのか、スマホ向けSoCの流れをくむQualcommのPC向けSoC「Snapdragon X Elite」を搭載するPCは、Microsoftから「Copilot+ PC」の名称を与えられ、今後何年にもわたって「PC上で充分なAI処理が可能な性能を持つPC」としてのお墨付きを得ることになった。
Copilot+ PC(新しいAI PC)の要件は別の記事に詳しいが、現状ではSnapdragon X Eliteか、その下位シリーズとなる「Snadragon X Plus」のいずれかを搭載するPCのみが対象となる。Intel(x86)アーキテクチャのCPUでも、AMDの「Ryzen AI 300シリーズ」であればその性能要件を満たすことが可能で、同シリーズを搭載する「HP OmniBook Ultra 14」も、遠からずCopilot+ PCの仲間入りを果たすだろう。
ただ、現状のCopilot+ PCの要件を満たすPCは、米国における販売価格が税抜き1000〜1600ドル程度、日本国内では税込み20万〜30万円前後の価格帯となっており、価格帯だけで見ればミドルハイ〜ハイエンドのカテゴリーに属する。個人が気軽に買うのは難しいことはもちろん、企業でも全従業員に一気に行き渡らせるような一斉(大量)導入は困難だろう。
PCメーカーとしては、Windows 10のサポート終了(EOS)が2025年10月14日と、約1年後に控えていることもあり、何とかこのチャンスに「最新PCのセールスをかけたい」とも考えているはずだ。
少し前置きが長くなったが、HPが米ニューヨーク州ニューヨーク市で開催した「HP Imagine AI」に合わせて、同社のサミュエル・チャン氏(PCコンシューマーシステム部門担当プレジデント兼シニアバイスプレジデント)から話を聞く機会があった。同社はAI PCについて、どう考えているのだろうか。
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