10月23日から26日まで、世界30カ国から集まったデジタルノマドたちが“新しい働き方”の可能性を議論するカンファレンス「Colive Fukuoka 2024」が福岡市で開催された。
本イベントではレノボ・ジャパンと日本マイクロソフトが共同で「Copilot+ PC」に関する講演や展示を行った。Copilot+ PCは、働き方にどのような未来を指し示すのだろうか。
「デジタルノマド」とは、インターネットとPCを活用して場所を問わず仕事をする人々を指す。デジタルノマドを誘致すべく、日本政府は4月から新たな在留資格として「特定活動(デジタルノマド(国際的なリモートワーク等を目的として本邦に滞在する者)及びその配偶者・子)」を創設した(※1)。
この在留資格は「外国企業と雇用契約を結んだ上でリモートワークをすること」「申請者本人の年収が1000万円以上であること」などを条件に、ノマドワーカー本人とその配偶者と子供に最長6カ月間の在留資格を与える。在留期間の更新には対応しておらず、「在留カード」も公布されない。
わざわざ専用の在留資格を作っていることからも分かる通り、日本政府はノマドワーカーの受け入れに積極的だ。
(※1)厳密には、ノマドワーカー本人は「特定活動53号」、ノマドワーカーの配偶者と子供は「特定活動54号」という在留資格となる
Colive Fukuoka 2024には、プログラマー、デザイナー、起業家など、デジタルスキルを有した職種の参加者が集まった。参加者の約30%を占める起業家を筆頭に、ITエンジニア、マーケター、クリエイターなど、コロナ禍でのリモートワークの一般化を背景に、多様な働き方を実践する人々が参加しているのだという。
会場を提供した福岡市は、2023年度から「デジタルノマド誘致事業」を始動した。Colive Fukuoka 2024は、ある意味でその“集大成”として開催されたもので、タイのチェンマイやポルトガルのマデイラ島など、世界的なデジタルノマド拠点のコミュニティリーダーたちが一堂に会した。
福岡市の高島宗一郎市長「世界中からデジタルノマドの方々を福岡にお迎えし、デジタルノマドフレンドリーな都市として発展していきたい」と訴える。
福岡市は福岡空港や博多湾といった海外への玄関口を有する。特に福岡空港は、中心市街地(博多駅)まで地下鉄でわずか8分という利便性を備えつつ、物価水準は東京の半分程度で、都市機能と自然が近接する環境を融資、そして地域コミュニティの温かさを保っていることが特徴なのだという。
このイベントの実施は、2022年に福岡市博多区で創業したデジタルノマドに特化したマーケティング会社「遊行」に委託する形で行われている。遊行の大瀬良亮CEOは主催者として、また自身も1人のデジタルノマドとして「デジタルノマドにとって重要な、アクセスの良さ、生活コストの適正さ、そして自然との距離感という条件が、福岡市にはそろっている。また、福岡市には屋台文化もあり、屋台では外国からの訪問者にも気さくに話しかける文化がある。外国人も心地よい距離感を保ちやすい」とデジタルノマドにおける福岡市のメリットを指摘する。
福岡市のデジタルノマドへの取り組みは、単なる観光誘致に留まらない。スタートアップビザの発行やIT企業の進出支援など、デジタル産業の育成も視野に入れた総合的な戦略となっている。
その最先端の取り組みとなるのは、外国人エンジニアのビザ取得を1カ月程度まで短縮する支援制度だ。通常3〜4カ月かかるビザ取得のプロセスを大幅に効率化し、グローバル人材の受け入れを促進している。
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