今回、GeForce RTX 5070 Founders Editionの実力をチェックするのに使うのは、Intel(当時)が2022年末に発売した「Intel NUC 13 Extreme Kit」のCore i9-13900Kモデルだ。主なスペックは以下の通りである。
- CPU:Core i9-13900K
- Pコア:8基16スレッド(3GHz〜5.8GHz)
- Eコア:16基16スレッド(2.2GHz〜4.3GHz)
- メモリ:DDR5-5600 32GB SO-DIMM×2(Kingstone製)
- ストレージ:1TB SSD(1000G Kingston FURY Renegade PCIe 4.0 NVMe M.2 SSD)
- OS:Windows 11 Pro バージョン24H2
GeForce RTX 5070 Tiのレビューとは異なり、本PCにはGeForce RTX 5070 Founders Editionが“すんなり”収まった。むしろ、内部にかなりの余裕ができて放熱的な意味で良い感じである。
今回は過去に同じPCで計測したGeForce RTX 3080 Ti/4080/5070 Ti/5080とのスコア差を見てみよう……と思っていたところ、編集長から「GeForce RTX 4070も試してみたらどうか?」との提案があったため、急きょ「GeForce RTX 4070 Founders Edition」も加えてスコアを比べてみることにした。
グラフィックスドライバのバージョンは以下の通りで、若干ばらつきがある。新バージョンのドライバでもスコアに有意な差がなかったため、当時の数値をそのまま掲載する。
- GeForce RTX 3080 Ti/4080:バージョン566.36(製品版)
- GeForce RTX 5080:バージョン572.12(β版)
- GeForce RTX 4070:バージョン572.60(製品版)
- GeForce RTX 5070:バージョン572.50(β版)
「GPU-Z」でチェックしたGeForce RTX 5070 Founders Edition(左)とGeForce RTX 4070 Founders Edition(右)の情報
GeForce RTX 4070 Founders Edition(上)とGeForce RTX 5070 Founders Edition(下)はほぼ同一寸法となっている
ULの3Dグラフィックスベンチマークテストアプリ「3DMark」では、DirectX 11/12 APIを利用する主要なテストを実行した。総合スコアは以下の通りだ。
- GeForce RTX 5070
- Time Fire Strike(フルHD/DirectX 11):4万1971ポイント
- Time Fire Strike Extreme(WQHD/DirectX 11):2万7406ポイント
- Time Fire Strike Ultra(4K/DirectX 11):1万4412ポイント
- Time Spy(WQHD/DirectX 12):2万1760ポイント
- Time Spy Extreme(4K/DirectX 12):1万816ポイント
- Port Royal(4K/DirectX Raytracing):1万4015ポイント
- Speed Way(4K/DirectX 12 Ultimate):5865ポイント
- GeForce RTX 5070 Ti
- Time Fire Strike(フルHD/DirectX 11):4万3938ポイント
- Time Fire Strike Extreme(WQHD/DirectX 11):3万2087ポイント
- Time Fire Strike Ultra(4K/DirectX 11):1万8049ポイント
- Time Spy(WQHD/DirectX 12):2万6102ポイント
- Time Spy Extreme(4K/DirectX 12):1万3222ポイント
- Port Royal(4K/DirectX Raytracing):1万8818ポイント
- Speed Way(4K/DirectX 12 Ultimate):7649ポイント
- GeForce RTX 5080
- Time Fire Strike(フルHD/DirectX 11):4万6021ポイント
- Time Fire Strike Extreme(WQHD/DirectX 11):3万5924ポイント
- Time Fire Strike Ultra(4K/DirectX 11):2万1294ポイント
- Time Spy(WQHD/DirectX 12):2万9553ポイント
- Time Spy Extreme(4K/DirectX 12):1万5378ポイント
- Port Royal(4K/DirectX Raytracing):2万1875ポイント
- Speed Way(4K/DirectX 12 Ultimate):8983ポイント
- GeForce RTX 4080
- Time Fire Strike(フルHD/DirectX 11):4万2502ポイント
- Time Fire Strike Extreme(WQHD/DirectX 11):3万645ポイント
- Time Fire Strike Ultra(4K/DirectX 11):1万7332ポイント
- Time Spy(WQHD/DirectX 12):2万6251ポイント
- Time Spy Extreme(4K/DirectX 12):1万3375ポイント
- Port Royal(4K/DirectX Raytracing):1万8048ポイント
- Speed Way(4K/DirectX 12 Ultimate):7358ポイント
- GeForce RTX 4070
- Time Fire Strike(フルHD/DirectX 11):3万5860ポイント
- Time Fire Strike Extreme(WQHD/DirectX 11):2万591ポイント
- Time Fire Strike Ultra(4K/DirectX 11):1万150ポイント
- Time Spy(WQHD/DirectX 12):1万8134ポイント
- Time Spy Extreme(4K/DirectX 12):1万104ポイント
- Port Royal(4K/DirectX Raytracing):1万1311ポイント
- Speed Way(4K/DirectX 12 Ultimate):4527ポイント
- GeForce RTX 3080 Ti
- Time Fire Strike(フルHD/DirectX 11):3万8287ポイント
- Time Fire Strike Extreme(WQHD/DirectX 11):2万3598ポイント
- Time Fire Strike Ultra(4K/DirectX 11):1万2699ポイント
- Time Spy(WQHD/DirectX 12):1万9689ポイント
- Time Spy Extreme(4K/DirectX 12):1万104ポイント
- Port Royal(4K/DirectX Raytracing):1万3125ポイント
- Speed Way(4K/DirectX 12 Ultimate):5330ポイント
同一世代だと順当に「5080>5070 Ti>5070」という結果だ。名称的に上位の5070 Tiと比べると4〜25%のスコア差が見られる。描画解像度が上がるほどスコア差が大きいため、GPUとしての自力の差が付いている印象もある。
一方新旧世代の比較では、対4070には“完勝”している。スコア差は7〜16%だ。新世代の同等製品なので、基本的には勝たないとマズいところ、よくやったというところだろうか。
2世代前の準ハイエンドGPUである「GeForce RTX 3080 Ti」と比べても、7〜16%高いスコアを記録している。予算に余裕があるなら「中古の3080 Tiよりも5070の方がグラフィックスパフォーマンスは良好」といえる。
3DMarkのスコア
続けて、スクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク(FF14ベンチマーク)」を試してみよう。本ゲームの場合、解像度プリセットはHD(1280×720ピクセル)/フルHD/4Kの3種類だが、今回はフルHD/4Kと、カスタム解像度としてWQHDを「最高画質」のフルスクリーン表示でテストした。本プログラムでは、GeForce RTXシリーズの超解像技術「DLSS(Deep Learning Super Sampling)」を利用できるが、今回は「60fpsを下回る場合に有効」としている。
結果は以下の通りだ。
- GeForce RTX 5070
- フルHD:2万7579ポイント
- WQHD(カスタム解像度):2万1307ポイント
- 4K:1万1217ポイント
- GeForce RTX 5070 Ti
- フルHD:2万9268ポイント
- WQHD(カスタム解像度):2万4651ポイント
- 4K:1万3635ポイント
- GeForce RTX 5080
- フルHD:2万9860ポイント
- WQHD(カスタム解像度):2万6559ポイント
- 4K:1万5865ポイント
- GeForce RTX 4080
- フルHD:3万277ポイント
- WQHD(カスタム解像度):2万3988ポイント
- 4K:1万3849ポイント
- GeForce RTX 4070
- フルHD:2万4514ポイント
- WQHD(カスタム解像度):1万7529ポイント
- 4K:1万738ポイント
- GeForce RTX 3080 Ti
- フルHD:2万6128ポイント
- WQHD(カスタム解像度):2万362ポイント
- 4K:1万1395ポイント
基本的には3DMarkの総合スコア群と同じ傾向で、同一世代では解像度が高くなるほどスコア差が広がる。一応、4K解像度でも1万1217ポイントで「とても快適」判定となったので、4K解像度でもゲームプレイは問題なく楽しめそうではある。
FF14ベンチマークの結果
ここ数年、ハイエンドGPUでも負荷的にキツい「超・超重量級ゲーム」が複数登場している。その典型例が、CD PROJECT REDの「Cyberpunk 2077」だ。このタイトルは最新技術を取り入れることにも積極的で、1月23日に公開された「パッチ2.21」ではDLSS 4に対応し、GeForce RTX 50シリーズでは「マルチフレーム生成」に対応した他、超解像処理に用いるAIモデルに新型の「トランスフォーマーモデル」を導入した(従来モデルも選択可能)。
そこで今回はパッチ2.21を適用本ゲーム上で、プリセット設定では一番高負荷となる「レイトレーシング:オーバーレイ」をベースに4K解像度におけるゲーム内ベンチマークテストの平均フレームレートを計測した。今回はGPUによって使えるDLSS設定が異なるが、有効にした場合は全てAIモデルをトランスフォーマーモデルとしている。結果は以下の通りだ。
- DLSSオフ(ネイティブ解像度)
- GeForce RTX 5070:3.81fps
- GeForce RTX 5070 Ti:15.87fps
- GeForce RTX 5080:19.83fps
- GeForce RTX 4080:16.1fps
- GeForce RTX 4070:1.37fps
- GeForce RTX 3080 Ti:4.85fps
- DLSSオン(フレーム生成オフ)
- GeForce RTX 5070:37.74fps
- GeForce RTX 5070 Ti:51.74fps
- GeForce RTX 5080:60.07fps
- GeForce RTX 4080:53.38fps
- GeForce RTX 4070:33.22fps
- GeForce RTX 3080 Ti:38.83fps
- DLSSオン(フレーム生成2X)
- GeForce RTX 5070:67.29fps
- GeForce RTX 5070 Ti:88.96fps
- GeForce RTX 5080:95.81fps
- GeForce RTX 4080:90.88fps
- GeForce RTX 4070:83.12fps
- DLSSオン(マルチフレーム生成3X)
- GeForce RTX 5070:95.18fps
- GeForce RTX 5070 Ti:126.37fps
- GeForce RTX 5080:136.35fps
- DLSSオン(マルチフレーム生成4X)
- GeForce RTX 5070:118.97fps
- GeForce RTX 5070 Ti:158.82fps
- GeForce RTX 5080:173.3fps
同世代比較では順当に「5080>5070 Ti>5070」という結果となった。一方、4070と比較するとDLSSのフレーム生成2X(1フレームに対して1フレームの補間を実施)において「4070>5070」という結果となった。何度かテストはしたものの、この結果に変化はなかった。ドライバかゲーム本体のいずれか(あるいは両方)のアップデートによって改善するものと思われる。
もっとも、現時点でもGeForce RTX 50シリーズのマルチフレーム生成(3X/4X)を使うとGeForce RTX 5070でもいい感じにフレームレートを稼ぐことができる。超解像やフレーム補間による違和感を覚えない(気にならない)という人は、GeForce RTX 5070なら4K解像度でもそこそこ快適なゲームプレイを期待できる。
Cyberpunk 2077の平均フレームレート
参考に、GeForce RTX 5070においてフルHD/WQHD解像度でDLSS無効とした場合(ネイティブ解像度)の平均フレームレートは以下の通りとなる。
- フルHD:41.18fps
- WQHD:25.51fps
一般的なTV(最大30fps)でプレイする前提だと、フルHD解像度ならおおむね違和感なく楽しめるだろう。(当該解像度のパネルを使うTVはないが)WQHD解像度はDLSSの助けを借りないとスムーズなプレイは厳しそうだ。
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